2006 Fiscal Year Annual Research Report
寛政度内裏造営における復古様式の復元過程をめぐる諸問題に関する建築史的研究
Project/Area Number |
17560572
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Research Institution | OSAKA CITY UNIVERSITY |
Principal Investigator |
谷 直樹 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (40159025)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西 和夫 神奈川大学, 工学部, 教授 (10049687)
岩間 香 摂南大学, 外国語学部, 教授 (50258084)
植松 清志 大阪人間科学大学, 人間科学部, 教授 (50340881)
小沢 朝江 東海大学, 工学部, 助教授 (70212587)
中嶋 節子 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 助教授 (20295710)
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Keywords | 内裏 / 寛政度造営 / 復古様式 / 御指図御用記 / 中井家 / 木子家 / 土佐家 / 障屏画 |
Research Abstract |
本研究は、寛政度内裏における復古様式の復元過程をめぐる諸問題に関して、建築史研究を中心に、美術史の研究成果も取り入れて総合的に研究を遂行しようとするものである。本年度は最終年度に当たるので、資料収集とその解読を継続しつつ、考察に重点を置いた。 資料収集では、寛政度内裏研究の基本資料である文献のうち、「造内裏御指図御用記」(宮内庁蔵・天明8年から寛政2年までの日記)の解読を継続し、コンピュータに入力した。「造内裏御指図御用記」はほぼ全文の読み本を作成し、また、新たに中井家文書(中井正知家所蔵)の収集と整理を行い、寛政度内裏関連の文献リストを作成した。 考察では、「造内裏御指図御用記」等の分析に基づいて寛政度復古内裏の造営年表を作成し、復古計画の進捗過程を把握することができた。すなわち、紫宸殿・清涼殿・承明門・常御所などの設計過程を復元した結果、大きく躯体(平面、立・断面)部分と造作(内部仕上げ・建具)部分に分かれ、造作の設計は躯体工事と並行して行われ、工程の監理が系統的に実施されていたことが実証できた。 寛政度内裏の設計を担当した大工は、初期は幕府の大工頭を勤める中井役所配下の棟梁・岡島上野が派遣され、復古建物の躯体設計を実施している。岡島は、禁裏方の要求に沿いながら、当時の大工技術を駆使して躯体設計を完成させた。つづいて造作の設計になると、禁裏大工職の家柄である木子播磨が引き継ぎ、木子は先例を参考に仕上げを指示している。 建物の内部を荘厳した障屏画は、禁裏方の指示のもとに御用絵師の土佐光貞が中心になって、部屋ごとに襖の仕様と画題を決定し、絵師を選定している。仕立の内容(彩色の有無、唐絵とやまと絵)や当時の絵師の位を指標にして、部屋の格付けを想定することができた。
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Research Products
(2 results)