2005 Fiscal Year Annual Research Report
登録文化財の多様な活用を前提にした保存修復のあり方の研究-事例集と指針案の作成-
Project/Area Number |
17560576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagaoka Institute of Design |
Principal Investigator |
木村 勉 長岡造形大学, 造形学部, 教授 (60280608)
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Keywords | 登録有形文化財 / 歴史的な建物 / 保存 / 活用 / 修復 / 文化財建造物 |
Research Abstract |
登録有形文化財の保存に関する行政資料、刊行物、論文・修理報告書などを収集し、現地諸機関から得た活用状況の情報をもとに、対象としてふさわしい物件を選択して現地調査計画をたてた。 今年度の現地調査は、登録有形文化財の登録に比較的活発な動きがみられる地方自治体において、同自治体が所有する登録物件及び同自治体の積極的な行政指導になる民間所有の登録物件とし、とくに日常生活の中でごく自然に利用される例を取り上げることとした。現地では、建物や修復記録などの基礎データの収集のほか、関係者がどのような認識や意識で登録有形文化財の登録を受け入れ、それが修復や使い方にどう影響を与えているかという点も重視して調査した。主な現地調査対象物件は以下のとおりである。 旧札幌控訴院(ギャラリー)/ニッカウヰスキー北海道工場(現役、公開)/五島軒本店旧館(現役)/栃木市役所別館(現役)/雅秀店舗(カー用品店)/正田醤油醸造蔵(本社社屋)/旧合名会社飯塚織物工場(博物館)/旧南部鋳造所キュポラ(公開)/富士ラビット(多目的)/旧ユニオン教会(レストラン)/ぜいたく豆本舗本店(店舗)/旧三池炭鉱三川電鉄変電所(社屋)/旧第一銀行熊本支店(社屋、展示)/旧鐘淵紡績熊本工場診療所(生花教室) いずれも、自治体担当者の登録有形文化財への深い理解による自治体からの保存活動団体への支援や所有者への働きかけが、大きな成果を生んでいる。所有者も登録有形文化財に関する知識を十分にもち、守り伝えていくことへの志向が高く、活用のための修復に対し、しっかりとしたコンセプトをもっていることが読み取れる。所有が企業である場合には、登録有形文化財として保存・活用されることが企業イメージの向上に活かされ、好結果を生んでいる例もみられた。
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Research Products
(2 results)