2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560580
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
毛利 哲夫 北海道大学, 大学院工学研究科, 教授 (20182157)
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Keywords | 合金平衡状態図 / クラスター変分法 / フェーズフィールド法 / 経路確率法 |
Research Abstract |
経時状態図とは時間軸を有する合金状態図であり、合金の非平衡時間発展過程を記述するダイアグラムである。従って、時間無限大の極限において通常の平衡状態図に収束する。かかる時間依存の現象を取り扱うために、申請者は二つの理論を基本的な手法とした。その一つは、平衡状態の統計力学理論であるクラスター変分法であり、これに、電子状態の全エネルギー計算を組み合わせた第一原理手法である。他の一つは、内部組織などの時間発展過程を計算するフェーズフィールド法であり、これには保存量に対するCahn-Hilliard方程式と、非保存量に対するTime Dependent Ginzburg Landau方程式が含まれる。フェーズフィールド方程式は不均一系の方程式であり、基本的には内部組織のような原子レベルよりも大きなスケール域を取り扱う。これに対して、クラスター変分法は原子レベルの離散格子を対象にした理論である。両者の効果的な結合により、原子レベルの抽像を内部組織レベルの時間発展の計算に反映させることができるが、一方において、空間・時間スケールの大きな違いのために、両者を単純に連結するだけでは、単に計算時間のみを消費するだけで、有意な結果を得ることはできない。これを回避するための処方が粗視化である。本年度はこの粗視化手法の基本的な問題を取り組んだ。粗視化の統計力学的な基礎は確立されているが、これは厳密な理論であり、そのままでは具体的な問題を適用できない。本研究では、クラスター変分法を基礎とするために、これと整合する形の粗視化が必須である。この問題に対して、Kikuchi-Cahnの手法を拡張する方法を用いて空間粗視化を実行し、第一原理からの経時状態過程を計算した。さらに、時間の粗視化のために経路確率法を用いる手法について検討を行った。
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Research Products
(6 results)