2005 Fiscal Year Annual Research Report
フラックス法による鉄基大過冷却液体の凝固過程の研究
Project/Area Number |
17560585
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
尾藤 輝夫 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教授 (40315643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Keywords | 構造・機能材料 / 結晶工学 / 金属物性 / ナノ材料 / 磁性 |
Research Abstract |
近年、銅鋳型鋳造法によるFe基金属ガラス(ただし非磁性)大型試料作製の報告が相次いだため、当初の予定を変更して、Fe基軟磁性金属ガラス大型試料作製について検討を行った。 今年度は、銅鋳型鋳造法で直径5mmの丸棒が作製できることが報告されている[(Fe_<0.5>Co_<0.5>)_<0.75>B_<0.20>Si_<0.05>]_<96>Nb_4合金に対して、フラックス法を適用した。石英ガラス管に母合金とフラックス材(B_2O_3)を投入し、Arガスフロー下で溶解してフラックス処理を施した。それを水中に投入して急冷することにより、直径7.7mmのガラス相単相試料の作製に成功した。これは同合金の銅鋳型鋳造法による最大直径の1.5倍であり、また軟磁性金属ガラスとしては世界最大である。示差走査熱分析とビッカース硬さの結果より、フラックス法で作製したバルク試料は、液体急冷薄帯とほぼ同じ結晶化温度、結晶化エンタルピー、硬さを示すことを確認した。また磁気特性についても、バルク試料は薄帯と同じ飽和磁化と、20A/m以下の低保磁力を示すことを確認した。これらのことから、薄帯試料と同等の優れた熱安定性・機械的特性・軟磁性を兼ね備えたバルク試料の作製に成功したと言える。 フラックス法を用いた場合、冷却速度が銅鋳型鋳造法よりも遅くなると予想される。冷却速度の測定を行った結果、直径7.7mmの試料の冷却速度は70〜140K/s程度であり、数100K/s程度と考えられている銅鋳型鋳造法よりも明らかに遅くなっている。しかし最大試料サイズは約1.5倍に増大しており、B_2O_3フラックス処理によりガラス形成能が著しく増加したと言える。これは、フラックス法を適用することにより不均質核生成サイトとなる介在物が溶湯中から取り除かれたためであると考えられる。
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