2006 Fiscal Year Annual Research Report
フラックス法による鉄基大過冷却液体の凝固過程の研究
Project/Area Number |
17560585
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
尾藤 輝夫 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40315643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧野 彰宏 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30315642)
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Keywords | 構造・機能材料 / 結晶工学 / 金属物性 / ナノ材料 / 磁性 |
Research Abstract |
昨年度、フラックス処理と水焼入れ法を組み合わせることにより、Fe-Co-B-Si-Nb金属ガラス大型試料の作製に成功した。しかしこの手法では試料形状の制限が多く、また極めて生産性が悪い。そこで今年度は、(1)フラックス処理を前提としたFe基金属ガラスの材料組成の検討、(2)大型試料の作製方法の検討、および(3)バルク試料の機械的性質について検討を行った。 最初に、Fe-Co-B-si-Nb合金への種々の遷移金属元素を添加し、ガラス形性能向上の可能性を調査した。添加元素は、B_2O_3と反応しないと考えられるCr、Mn、Moを選択した。その結果、Moの添加はガラス遷移温度、結晶化温度、液相線温度の全てを増加させ、結果として過冷却液体領域(ΔT_x)は増加するものの換算ガラス化温度(T_r)が低下し、ガラス形成能は低下した。Mnの添加ではT_rの増加が見られたが、ガラス形成能は向上しなかった。一方Crの添加では、同じくT_rの増加が見られ、かつΔT_xも5K増加し、若干のガラス形成能の増加が確認できた。 続いて、フラックス処理と銅鋳型鋳造法の組み合わせによるバルク試料の作製について検討を行った。最初に、(1)フラックス処理後に母合金を室温まで冷却して石英管から取り出し、銅鋳型鋳造法でバルク試料を作製した。しかしフラックス処理後に母合金が再び酸化してしまうため、ガラス形成能の向上には結びつかなかった。そこで、(2)フラックス処理終了後に直ちに、溶湯を銅鋳型に鋳造した。(2)の方法では、無添加合金で直径5mm、Cr添加合金では直径6mm丸棒状ガラス試料が作製できた。フラックス未処理材の限界直径は4mmあり、フラックス処理によるガラス形成能の向上が確認できた。またビッカース硬さの測定結果から、作製したバルク試料はフラックス処理・未処理に関わらず12GPa程度の硬さを示しており、試料作製方法やサイズによる顕著な違いは見られないことが確認できた。
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Research Products
(3 results)