2006 Fiscal Year Annual Research Report
析出核生成における自由エネルギー変化の第一原理計算
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17560587
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
西谷 滋人 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50192688)
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Keywords | 振動エネルギー / フォノン分散 / 希薄固溶エンタルピー / 空孔エネルギー |
Research Abstract |
本研究では,申請者らが新たに提案している核生成に伴う自由エネルギー変化を第一原理計算から求める手法に,振動エネルギー計算を組み込むことによって,その適用範囲を拡げることを目的としている. 本年度は,フォノン状態密度を第一原理計算ソフトと組み合わせて作成する手法を取り入れ,熱膨張,振動の自由エネルギーを精密に計算することが可能となった.また,3元系への拡張をおこない照射環境で重要となる空孔の挙動の解明を試みた. 得られた主な知見は以下の通りである. (1)これらの原子周囲の硬さを有効的に取り入れて,有限温度の振動の自由エネルギーによる核生成の自由エネルギー変化に与える影響を精密に求めた.その結果,振動の効果は,全自由エネルギー変化の1/3程度もあることがわかった. (2)Fe-Cu系においてCu原子をFe中に固溶させた場合に,有効原子半径が膨張する原因が,Fe-Cu原子間の反発的な相互作用であることが判明した.また,3d遷移金属全体の固溶半径の振る舞いと,希薄固溶生成エンタルピーとの相関を解明した. (3)第3元素としてNiを添加すると,Fe-Cu間の反発的な相互作用を打ち消すために,Cu析出粒子とFe母相の界面に偏析することがわかった. (4)空孔がある場合には,空孔生成エネルギーから分かる通り,Cuの内部に優先的に占めることが判明した. これらの成果は,複数の国際学会・雑誌に発表するとともに,国内の著名雑誌の記念レビューとして寄稿している.
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Research Products
(4 results)