2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560589
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
竹屋 浩幸 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 主席研究員 (80197342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 和人 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, グループリーダー (30354294)
戸叶 一正 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, 特別研究員 (60361169)
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Keywords | 超伝導体 / リチウム / 低温物性 / 比熱 |
Research Abstract |
平成18年度において物理学会や国際会議などで、我々の研究成果を報告してきた。本研究のリチウム系化合物超伝導体であるLi_2Pd_3B及びLi_2Pt_3Bは、構造に空間反転対称性がどの方向にも存在しないという稀有な超伝導体である。特強相関や磁気オーダーがないので、純粋に「空間反転対称性の破れた超伝導」を研究する対象物質として注目されてきており、学会での質問や試料提供の依頼も多くなってきた。 1、超伝導転移の圧力依存性 超伝導のBCSモデルでは、転移温度はT_c=0.85θ_Dexp (-1/N(E_F)V), N(E_F): Density of states at Fermi lve1, V : BCS interaction parameterと表現され、高圧をかけるとデバイ温度θ_Dの上昇が期待されるのでT_cが上昇する可能性がある。そこでオイルを圧力媒体として使って簡単に圧力をかけられるセルを作り、SQUID磁束計を用いて超伝導転移温度(T_c)の圧力依存性を0〜1GPaの範囲で測定した。結果、T_cは圧力に対して単調に減少し、Li_2Pd_3B、Li_2Pt_3B、それぞれdT_c/dP=0.091、0.090K/GPaの圧力依存性を得た。これらの値は、金属系超伝導体で見られる値にほぼ等しいが、T_cの低下の原因についてはN(E_F)V圧力依存性について調べる必要があり、現時点でははっきりしない。 2、比熱の磁場依存性 熱物性、特に比熱を測ることにより超伝導体のいろいろな特徴を探ることが可能である。Li_2Pd_3B及びLi_2Pt_3Bの物質について、比熱の磁場および温度依存性をHe-3冷凍機を用いて0.4Kまで測定した。Li_2Pt_3Bは磁場侵入長の温度依存性から、超伝導のエネルギーギャップにラインノードをもち、スピン一重項と三重項が混成しているのではないかと期待されている物質である[1]。実験結果から超伝導電子の比熱の温度依存性を見積もるとLi_2Pd_3Bでは、準粒子がギャップ間で励起される場合に見られるほぼ完壁なexponentialで変化し、単純なs波BCS超伝導体であることがわかった。これに対し、Li_2Pt_3Bは全く異なり温度のべき乗(2乗)で変化し、超伝導エネルギーギャップにラインノードをもち、p波スピン三重項超伝導ではないかとの結果となった。Li_2Pd_3B及びLi_2Pt_3Bの違いはスピン・軌道相互作用の大きさの違いによるものと考えられる。この結果は最近のNMRのコヒーレンスピークが観測されないことや1/T_1の温度依存性がT_c以下でT^3に比例するという結果[2]を支持している。 比熱の測定結果によってますますこの系の超伝導は面白くなってきており、さらに解析を進めているところである。 [1] H.Q.Yuan et al., Phys.Rev.Lett. 97(2006)017006. [2] M.Nishiyama et al., Phys.Rev.Lett. 98(2007)047002.
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Research Products
(5 results)