2005 Fiscal Year Annual Research Report
バンドギャップ励起に基づく希土類イオン付活型蛍光体の創製と発光機構の解明
Project/Area Number |
17560598
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
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Keywords | 蛍光 / ペロブスカイト / バンドギャップ / 希土類 / 発光 |
Research Abstract |
本年度は、(1)希土類イオンを添加した層状チタン酸化物の合成、(2)結晶構造解析、(3)光学特性の解析をおこない、バンドギャップ励起による発光機構を解明するとともに新規層状チタン酸化物蛍光体の創製することを目的とした。通常の固相反応法およびクエン酸金属錯体を用いた溶液法により、Sr_<n+1>Ti_nO_<3n+1>:Pr^<3+>(n=1,2,∞)、およびCa_<n+1>Ti_nO_<3n+1>:Pr^<3+>(n=2)の均質な粉末試料の合成をおこなった。粉末X線回折データを用いて格子定数およびリートベルト解析をおこなうことにより、母体の結晶構造を詳細に調べ、構造の精密化をおこなった。試料の拡散反射スペクトルを測定することにより、バンドギャップエネルギーおよび付活イオンPr^<3+>に基づくf-f遷移を調べた。紫外光および可視光によるルミネッセンス測定および励起スペクトル測定により、層状チタン酸化物Sr_<n+1>Ti_nO_<3n+1>:Pr^<3+>(n=1,2)およびCa_<n+1>Ti_nO_<3n+1>:Pr^<3+>(n=2)は、Pr^<3+>を添加したペロブスカイト酸化物と同様に価電子帯から伝導帯へのバンドギャップ励起により強い赤色発光を示すことがわかった。発光特性と結晶構造との関係を考察することにより、付活イオンPr^<3+>と酸素間距離およびPrのサイトシンメトリーが発光特性に影響を与えることを明らかにした。さらに、本年度購入した冷凍機システムを用いて、低温での蛍光測定ができるように装置を整備した。
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