2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭素網面のエッジを利用した電気二重層キャパシタの調製
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17560601
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Research Institution | Gunma National College of Technology |
Principal Investigator |
太田 道也 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40168951)
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Keywords | 膨張 / メソカーボンマイクロビーズ / 炭素網面エッジ / 電気二重層キャパシタ / 静電容量 |
Research Abstract |
平成18年度の目的として、炭素集電極と膨張メソカーボンマクロビーズ(Ex-MCMB)との接着強度を調べることで内部抵抗を軽減させることを工夫し、同時にエッジ表面の観察や比表面積の測定、電気化学測定による静電容量の見積もりを行うことで電気二重層キャパシタとしての評価を行うことを掲げた。 今年度の研究からわかったことは次のことである。 ・2000℃ならびに3000℃で黒鉛化処理したメソカーボンマイクロビーズを使用したところ、膨張処理はよりスムーズに行うことができた。 ・窒素ガス吸着による膨張化処理前後の比表面積は、2000℃処理したMCMBで約0.8m^2/gから約70m^2/gとなり非常に大きくなった。しかし、膨張化処理後の試料の等温吸着曲線はI型でミクロ孔が支配的な分布をしていることがわかった。 ・電気化学測定では、熱硬化性樹脂を用いてEx-MCMBの成形板を作製したものと一般に行われているPTFE、カーボンブラックを使用して作製した試料とで比較した。その結果、Ex-MCMBの成形板の方がどの電流密度で測定しても5倍以上の大きな値となった。 ・Ex-MCMBの成形板では、膨張したラメラを熱硬化性樹脂由来の炭素が覆っていることがわかった。電気化学酸化を行うといずれの電流密度で測定しても約50F/gとなった。 ・一般に行われているPTFEを用いてサイクリックボルタモグラムを測定した結果、Ex-MCMBのエッジ表面に酸性官能基の生成に起因すると思われる酸化還元ピークが検出された。 今年度の研究では、約50F/gというそれほど大きな静電容量が得られなかったが、比表面積が一般の電気二重層キャパシタの多孔質炭素に比べるとかなり低いことからこの静電容量は主として膨張化したMCMBのエッジ面の効果が大きく出ていることがわかる。また、キャパシタとして使用する際にはPTFEで成形するのではなくて、熱硬化性樹脂で成形して炭素化した方が集電極との接着における内部抵抗が小さくなることがわかった。しかし、その反面Ex-MCMBの表面が熱硬化性樹脂由来の炭素層で覆われることから電気化学的酸化処理によって電極表面の炭素層を除去する必要がある。
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