2007 Fiscal Year Annual Research Report
高効率発光材料としてのリン光性有機遷移金属錯体の分子設計と合成
Project/Area Number |
17560609
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大井 秀一 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (00241547)
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Keywords | 有機金属錯体 / カルベン錯体 / 燐光発光 / 白金 |
Research Abstract |
近年,NHCカルベンが配位したイリジウム錯体が,400〜450nmという短波長で発光することが見い出され,青色発光材料として注目されている.そこで,本年度はNHCカルベン錯体が配位した白金錯体を合成し,その発光特性を調べることにした. まず,1-フェニル-3-メチルイミダゾリウムヨーダイドと酸化銀を塩化メチレン中で反応させ,銀のカルベン錯体を調製した.続いて調製した銀カルベン錯体と塩化白金を,テトラブチルアンモニウムクロリドと炭酸ナトリウムの存在下,ジオキサン中で加熱することにより,ジクロロビス(1-フェニル-3-メチルイミダゾリン-2-イリデン)白金錯体が収率良く得られた.また,得られたビスカルベン錯体は単結晶X線構造解析により,その構造を確認した.その結果ふたつのカルベン配位子は,白金錯体の平面に対して直交しており,また,ふたつのカルベンはトランス配置であることがわかった.続いて,得られたビスカルベン錯体のアニオン部の交換を行った.ヨウ化銅(I)とアミンの存在下,フェニルアセチレンと反応させることにより,ビスアセチリド錯体が収率良く得られた.また,ジクロロ錯体をヘキサフルオロリン酸銀で処理した後,加熱することにより,一方のカルベン配位子のフェニル基がオルト位で白金に結合したメタラサイクル錯体が得られた.さらに加熱時間を延長したが,錯体が分解するのみで,ビスメタラサイクル錯体を得ることはできなかった. 得られた錯体の蛍光を測定した結果,ビスアセチリド錯体において,弱いながらも450nmに極大を持つ発光が観測された.
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