2005 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ひずみ勾配付与型ショットピーニングによる表面ナノ結晶材料の創製
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17560616
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
戸高 義一 豊橋技術科学大学, 研究基盤センター, 助手 (50345956)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅本 実 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (90111921)
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Keywords | ナノ結晶 / 歪勾配 / 強加工 / ショットピーニング / HPT(High Pressure Torsion) / 金属材料 / 組織制御 / 表面改質 |
Research Abstract |
平成17年度の研究計画に基づき、以下の成果を得た。 1.表面ナノ結晶層形成のためのショットピーニング条件 ナノ結晶層の厚さは、試料表面を塑性変形させるために必要なショット材の運動エネルギーが高い条件ほど厚く生成する。具体的にはショット速度が速いことやショット速度が同じでもショット粒径が大きいことが望ましいことが分かった。しかしながら、ショット粒径が小さいほど、ナノ結晶粒組織は表面に均一に形成することが分かった。また、ショット材の運動エネルギーが小さくても、カバレージ(処理時間)を大きく(長く)することで、ナノ結晶粒組織が形成することが分かった。材料因子として材質・組成・組織について調査した結果、種々の炭素鋼(Fe〜Fe-0.80%C, Ferrite, Martensite, Pearlite, Spheroidite),Fe-3.3%Si, Ti-6Al-4V合金(α+β)においてナノ結晶粒化が認められた。 2.高静水圧下のねじり(HPT)加工によるナノ結晶化に必要な加工因子の解明 ショットピーニング加工は、歪量と共に歪勾配を付与する加工方法である。HPT加工では歪量と歪勾配を分離して調査することが可能であるため、HPT加工により歪勾配の結晶粒微細化に及ぼす影響について調査した。純Feにおいて、歪勾配の付与のみで3.3GPaのビッカース硬さが得られた。この硬さは、圧下率97.6%(相当歪4.3)で得られるHV2.4GPaに比べて極めて高い値であり、歪勾配の付与が結晶粒微細化に著しく寄与することが分かった。 3.表面ナノ結晶材料の機械的特性の評価 ショットピーニングにより作製した表面ナノ結晶材料について、疲労試験および耐摩耗試験を行っている。これまでのところ、ナノ結晶粒化に伴う顕著な特性の向上は認められていないが、これはナノ結晶粒組織が表面に均一に形成していないこと等が原因と考えられる。平成18年度では試験片の作製方法等について対策を行い、本質的な表面ナノ結晶材料の特性を明らかにする予定である。
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