2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオンサイト制御スピンオーダリングによる磁性誘電体エレクトロニクス素子
Project/Area Number |
17560621
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松井 利之 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (20219372)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森井 賢二 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10101198)
津田 大 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (80217322)
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Keywords | 磁性誘電体薄膜 / 磁気物性 / 誘電体物性 / エピタキシャル薄膜 / パルスレーザー法 / ペロブスカイト酸化物 / マルチフェロイック / 超交換相互作用 |
Research Abstract |
本研究は室温で動作する強磁性誘電体薄膜の物質開発を目的として,Ba(Fe, Zr)O_3,Ba(CoMn)O_3系磁性誘電体について,PLD法による薄膜合成および磁性誘電体素子応用を目指した機能性の発現と特性の最適化に取り組み,次のような成果を得た. 1.Ba(Fe, Zr)O_3磁性誘電体単結晶薄膜における強磁性磁気秩序起源の解明 光電子分光によるFeイオンの価数常態評価の結果,Zr置換率が増大することにより4価のFeイオンの相対的割合が増加することが明らかにした.また,Fe, Zrイオンの存在形態の磁気秩序に及ぼす影響を調査するため,断面方向のエネルギーフィルターTEM像による解析また高分解能STEM解析をすすめ,飽和磁気モーメントが大きな試料には膜厚方向にFeイオンが集積したような領域が存在することを示した.これらの事実と磁化曲線のランジュバンフィッティング解析により,Zr置換率の増加に伴う飽和磁化の増加がFeの価数変化および局所的にFe濃度が高い領域の形成による強磁性的180°超交換結合の増加によるものであることを明らかにし,磁性誘電体デバイス開発のための材料設計に対し指針を与えた, 2.Ba(Co_<I・x>Mn_x)O_<3・δ>単結晶薄膜の合成と磁気特性の検討 単結晶薄膜の合成に成功したx=0.15,x=0.7組成に加えて,今回x=0.5試料の作製を試み単結晶薄膜の合成に成功した.作製したx=0.5薄膜の結晶性はx=0.15試料に比べ格段に改善され,また表面平坦性も大幅に向上した.電気特性は200℃から室温の温度域で半導体的な温度依存性を示し,磁気的には低温から室温の温度域で強磁性秩序を持ち,x=0.15試料と同様の挙動を示すことを明らかにした,これらの結果は本系材料が磁性誘電デバイスの候補材料となることを示唆している.
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Research Products
(2 results)