2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然ガスを燃料に用いるプロトン導電性酸化物薄膜電解質燃料電池の開発
Project/Area Number |
17560622
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
山口 貞衛 千葉工業大学, 付属総合研究所, 教授 (80005892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50125580)
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Keywords | 燃料電池 / メタン-酸素混合ガス燃料 / プロトン導電性電解質 / BaZr_<1-x>Y_xO_<3-x / 2> / Pd膜アノード |
Research Abstract |
燃料電池を利用する発電システムを商品化するためには、燃料ガスにパイプラインにより供給される安価な天然ガスの利用が望まれている。天然ガスの主成分であるメタンを燃料とする電池において、メタンが完全燃焼する場合のアノード反応は、CH_4(g)+O_2(g)→CO_2(g)+4H^+(s)+4e^-、で表される。一方、メタンが部分酸化する場合のアノード反応は、2CH_4(g)+O_2(g)→2CO(g)+8H^+(s)+8e^-、である。酸化反応により生じた水素イオンはアノードからプロトン導電性の電解質を通過してカソードに移動し、カソードにおいて、2H^+(s)+2e^-+O_2(g)→H_2O(g)、の反応が生じる。我々の研究は実験室規模の一室型メタン燃料電池の製作とその性能評価を目的とする。 一室型燃料電池では、アノードとカソードに同じガスを供給するために、通常の燃料電池のようにアノードとカソードを互いに隔離・密封する必要がない。そのため、燃料電池容器ないで電極間の接続が可能になり、個々の電池の集積が極めて容易で発電装置の小型化が可能である。更に、電解質や電極を燃料電池容器に接合する必要がないので、電解質や電極の補修やメインテナンスが容易である。この電池は、電解質に中間温度領域の導電率が比較的高いプロトン導電性の酸化物薄板を用い電池作動温度が500〜700℃であるから、高価な耐熱材料を必要としない。 一室型燃料電池において理論値に近い起電力を得るためには、アノードにカソード反応に対して不活性な材料を、そして、カソードにはアノード反応に対して不活性な材料を用いる必要がある。我々は、この条件を満たす材料を探索した結果、アノードには貫通孔のない水素透過性のPd膜をそしてカソードには多孔性のAgを用いると理論値に近い0.8〜1.0Vの起電力が発生することを見出すことができた。その原因として、貫通孔のないPd膜を通過できる気体は水素に限られるためにPdアノードではH_2Oを形成する反応は完全に阻止されること、一方、Agカソードはメタンの酸化反応に対して不活性であることが考えられる。現在迄に、厚さ1.2mmのBaZr_<0.8>Y_<0.2>O_<2.9>組成の電解質を用いた一室型メタン燃料電池において、700℃の温度で6mW/cm^2の出力密度が得られている。今後は、この燃料電池の高出力化を図ることを目的として、プロトン導電性酸化物薄膜を電解質に用いる燃料電池を開発する。
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Research Products
(1 results)