2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560656
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
石川 信博 独立行政法人物質・材料研究機構, 超高圧電子顕微鏡ステーション, 主任研究員 (00370312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 隆 独立行政法人物質・材料研究機構, 分析ステーション, 主幹研究員 (70370319)
稲見 隆 茨城大学, 工学部, 講師 (20091853)
渡辺 義見 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (50231014)
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Keywords | 固体接触技術 / その場解析 / 化学反応 / 酸化鉄 / 試料作製技術 |
Research Abstract |
17年度は固体同士を接触させる技術と温度条件の適正化を図り高温における透過電子顕微鏡(TEM)によるその場観察が可能になるような試料作成条件を固体炭素による酸化鉄の還元反応を例にとって探求することを目標としていた。この反応系は工業的には高炉製鉄法で行われている化学反応をそのままTEM内で起こそうとするものである。酸化鉄としてウスタイトを用意、これに炭素蒸着を行ってウスタイトと接触させることを試みた。ウスタイトは常温では不安定で表面は他の物質あるいはコンタミネーションに覆われている可能性が高い。従って本研究の最大のポイントはどうやって清浄なウスタイトの表面に炭素を付着させるかであった。超高真空下であれば清浄な表面を得ることは可能と思われるが装置的にきわめて大がかりになってしまうのでウスタイトを割りその破面を利用することにした。こうすると表面に凹凸ができるがTEMレベルの分析範囲では十分平坦であり、実際炭素蒸着も問題なく行うことができた。その後集束イオンビーム(FIB)法でTEM試料を作製した。もう一つ重要な点は反応温度である。実高炉では千数百度まで昇温させるがTEM内では観察範囲が広くてもミクロンオーダーであまり速く反応が進んでしまうと記録できないおそれがある。そこで300℃から徐々に昇温し観察に適した温度を探索した。その結果500℃前後から反応が開始することがわかった、DVDへの録画時間なども考慮して700℃までの温度条件で比較したところ高温ほど反応が早まることがわかった。またウスタイトと炭素の界面から鉄が析出して炭素側へ成長していくことがわかった。またウスタイトと鉄の間の組成の酸化鉄の発生は全く認められず、ウスタイトの一部がマグネタイトに変換したことも観察された。以上TEM内で固体炭素による酸化鉄還元その場観察に世界で初めて成功した。
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Research Products
(1 results)