2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型流体としての二酸化炭素を冷媒主成分とした冷凍機のシステム設計
Project/Area Number |
17560666
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
辻 智也 日本大学, 生産工学部, 助教授 (40246848)
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Keywords | 二酸化炭素 / 冷媒 / 潤滑油 / 液密度 / 溶解度 / テトラエチレングリコール |
Research Abstract |
潤滑油への二酸化炭素溶解度、粘度、密度の同時測定装置については、昨年度構築した循環法に基づく装置は空気恒温槽を有しているために室温以上での測定は困難であった。そこで、本年度はコンプレッサ出口を想定、277K、7MPaまで測定が可能な装置を構築した。これは既存の循環型装置と原理的に変わらないが、空気恒温槽の代わりに恒温水槽を用いており、装置全体を回転ハンドルで出し入れすることができる。また、粘度計は低温時の粘性増大に対応するために空気恒温槽に取り付けたものに比べて1オーダー大きいものを使用した。さらに、2液相形成に伴う相変化を観察するため、研究室で所有していた長窓型セルを使用した。 なお、測定は377.2Kにおけるテトラエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールジメチルエーテルに対する二酸化炭素溶解度および密度測定を行った。テトラエチレングリコールは市販のポリアルキレングリコールと分子構造が類似しており、かつ分子量が規定されたモデル物質である。また、末端水酸基は容易に修飾可能であり、比較対照としたジメチルエーテル末端に容易に修飾できる。一般に車載用のコンプレッサオイルとしては、吸湿性が問題とならないが、電気式冷蔵庫などは絶縁性が要求されるため、後者のほうが冷凍機油として適している。しかし、物性測定を行ってみると、テトラエチレングリコールは二酸化炭素と液液平衡的に振舞うのに対し、テトラエチレングリコールハは気液平衡的に振舞う。また興味深いのは、前者の場合、非圧縮性に起因し、密度は二酸化炭素溶解に伴い、はじめは減少するが、やがて高分子鎖の圧縮により増大に転じる。そのため、溶解度が小さく、かつ密度がほぼ一定となるので、従来にない高温特性をもつことがわかり、特許出願に至った。
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