2006 Fiscal Year Annual Research Report
膜ろ過法によるナノマテリアルのサイズ分離に関する基礎研究
Project/Area Number |
17560669
|
Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
辻川 浩雄 神奈川工科大学, 工学部, 教授 (60010807)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市村 重俊 神奈川工科大学, 工学部, 講師 (20333156)
|
Keywords | 膜ろ過法 / ナノ粒子 / ファウリング / 振動ろ過法 / サイズ分離 / リン脂質ポリマー |
Research Abstract |
膜ろ過法はナノ粒子分散液の分離精製法として期待される技術であるが,細孔の閉塞にともなう性能低下が問題となり実用化は難しいとされている.本研究では,その課題を解決しナノ粒子に代表されるナノマテリアルのサイズ分離を可能とする基礎技術を検討することを目的とした.そのためには,膜細孔内への付着や膜表面への堆積を抑制する膜材料及びろ過技術の開発が不可欠である.昨年度の結果から,リン脂質ポリマー(MPCポリマー)で処理したセラミック膜が耐汚染性に優れサイズ分離に適した膜材料であることが示唆された.また,半導体ナノ粒子(CdSe粒子)分散液のろ過では,粒子の透過性が非常に低いことが問題となった.そこで本年度は,MPC処理膜(細孔径80nm)を利用し,粒子径が均一なポリスチレンラテックス粒子(粒子径50nm,200nm)の透過性をクロスフローろ過試験により検討した.基材では膜性能の低下が見られたのに対し,MPC処理膜では性能維持が可能であった.粒子混合系でも同様の結果が得られた.一方,直円筒状の細孔を持つポリカーボネート膜を利用して,粒子径がブロードで凝集性が強いCdSe粒子の撹拌型全ろ過試験も行った.凝集体を前処理により除去することで膜の性能の低下は抑制されたが,粒子の透過性に対する細孔径,圧力,撹拌条件の影響は小さかった.分散剤の添加により改善が見られたことから,粒子間に働く相互作用の影響が大きいことが明らかとなった.一方,当初予定していた振動ろ過装置はシール法の問題が生じたため実験へ適用するには至らなかった.今後は,これら膜ろ過法の要素技術の確立が課題である.また,粒子の凝集性を考慮すると,膜ろ過法と分散処理技術等を組み合わせた分離プロセスが有望と考えられる.
|