2005 Fiscal Year Annual Research Report
空気力学における多体問題と相互干渉効果の理論的研究
Project/Area Number |
17560695
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松島 紀佐 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40332514)
|
Keywords | 超音速翼 / 複葉翼 / Busemann's Biplane / 圧縮波・膨張波干渉 / 抵抗低減 / チョーク現象 / ソニックブーム |
Research Abstract |
1.従来より大学院博士後期課程の学生と共に手がけていた衝撃波造波抵抗の削減に、圧縮波と膨張波の干渉を利用する研究を行い、音速機主翼の抵抗低減を実現した。この抵抗削減法は、主翼の表面形状に凹凸をつけ圧縮波と膨張波の干渉を利用しながら出来るだけ等エントロピー的に後縁での一様流への圧力回復を実現する方法である。表面形状における望ましい凹凸変化は遺伝的アルゴリズムを用いて決定した。この方法を用い、3次元アロー翼に胴体をつけた形の航空機を対象に翼表面形状を揚力一定、各スパン断面に於て最大厚さ一定、抵抗値最小で最適化したところ、25%程度抵抗が低減された翼が求まった。 2.多体問題としては、複葉超音速翼を取上げた。 17年度は2次元での翼断面翼型解析と翼型設計を行った。複葉翼は超音速飛行の場合に後退角を持たせる必然性がなく(干渉により前縁での衝撃波を消すことが出来るので亜音速前縁にする必要がない)2次元性が保持できる特徴があるので、3次元翼への拡張は容易であると思われる。複葉翼断面の基本形状としては、一般的にBusemann's Biplaneと呼ばれているものを用いた。 (1)空力解析 空力現象の線形理論解析とCFDによるEulerおよびNSシミュレーション解析を行なった。 複葉化によって、空力性能向上が可能であることが分かった。ただし、加速時や減速時にチョーク現象が生じることも確認した。線形理論のモデルが有効な場合と機能しない場合とを明確にした。 (2)空力設計 Busemann's Biplaneを基本に逆問題解法による形状設計を行い、巡航状態で適切な揚力を持ち且つ低抵抗な複葉翼型を提案した。この翼型は、ソニックブームを低減する効果を持つ可能性がある事も示した。 (3)超音速複葉翼に関する先行研究について調査を行い、今後の複葉翼研究は有意義であると結論した。
|