2005 Fiscal Year Annual Research Report
含水物質の輸送中に生ずる汗ぬれ損傷に対する高効率な防止策
Project/Area Number |
17560710
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 正昭 神戸大学, 海事科学部, 教授 (10252818)
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Keywords | コンテナ / シリカゲル / 汗ぬれ |
Research Abstract |
近年、日本は農産物の穀物及び豆類をほとんど輸入に頼っている。それら穀物及び豆類は含水材料であるため、海上輸送中の汗ぬれ損傷が問題となっている。防止策として使い捨ての吸水シートが市販されているものの、高コストを理由に利用率は極めて低い。 そこで、本研究では省エネルギーの観点より、再生可能な乾燥剤である各種シリカゲルを用い、設置量や設置位置を検討することで低コストな汗ぬれ損傷の防止策を提案する。 17年度は、コンテナの機能を単純化したミニコンテナを作製した。ミニコンテナに大豆及び吸着型シリカゲルを投入した後、冷却過程にあるコンテナ内部の温度及び水蒸気圧変化を実測し、得られた実測値より導かれる熱伝導・熱伝達・水蒸気伝導・水蒸気伝達に関する物性値を得た。大豆内部の熱及び水蒸気伝達率は拡散のみによって得られる値に比較してかなり大きく、大豆内部の空隙部に対流が生じていることを暗示していた。 フラスコ等を用いた実験室レベルで、大豆及びシリカゲルの含水率と平衡水蒸気圧の関係を求めた。また、その温度依存性についても実測することで、気化熱を求めることが出来た。得られた物性値をコンテナ内の熱及び水蒸気移動をモデル化したプログラムに入力し、計算によりコンテナ内の温度・水蒸気圧変化及び結露量の経時変化をシミュレーションしたところ、実測と一致していた。 以上の実験により、モデル化したプログラムの確証が得られたので、実寸大コンテナにて化学及び物理吸着型シリカゲルの投入効果及び結露量の経時変化をシミュレーションした。シミュレーションは、物理吸着型シリカゲルがコンテナ内部の上層空気に設置されることにより、効率よく汗濡れ損傷を防ぐことがでることを示していた。 また、水蒸気の吸着・透過制御のため、高分子フィルムの表面処理を行い、結露防止策として用い得ることを示し、有望な防止策となると考察した。
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Research Products
(2 results)