Research Abstract |
本年度は,AVL製単気筒IDS1ユニットベースエンジン(行程容積1083cm^3,最大出力16.3PS/2600rpm)をアイドリング,軽負荷,中負荷の3条件で運転して行った.力センサは,指圧センサ近傍のヘッドボルトに,また加速度センサは指圧センサ近傍のシリンダベッドとシリンダブロック上の2箇所に,上下方向の加速度が検出できるように取り付けてある.計測に際しては指圧センサを基準として,これに力センサ,加速度センサを適宜細合せ,最大4チャンネル,同時計測した. 力センサ出力は筒内圧の二つのピークにも良く追従し,また加速度センサ出力と同様,吸気弁の開および閉時期,排気弁の閉時期にほぼ一致するクランク角において,周波数の高い振動が力信号に重畳していることが分かった.弁着座状態等に異常があるときの振動波形との比較を待たねばならないが,力センサ出力を周波数帯域とクランク角で弁別処理するすることにより,動弁系の状態モニタの可能性が確認できた.次に連続44〜45サイクルについて,最大筒内圧Pmaxとそのクランク角θpmaxを求め,力センサ出力から求めた同様な値fmax,θfmaxとの関係について検討を加えた.Pmaxとfmaxとの相関係数ρ=0.9041,θpmax=362〜367(deg)とθfmax=361〜367(deg)の相関係数ρ=0.9314が得られた.これから,力センサを用いてヘッドボルト締め付け力変化を計測することにより,燃焼室外部から最大筒内圧Pmaxとそのクランク角θpmaxのモニタが可能となることが分かった. 図示平均有効圧(Indicated Mean Effective Pressure,以降IMEP)について,筒内圧を数値積分する従来方式によるIMEP(以降,(IMEP)_0)と研究代表者が提案する新たなIMEP演算式により力センサ出力の低周波数成分から等価的なIMEP(以降,(IMEP)_<force>)を求め,両者の比較を行った結果,(IMEP)_0と(IMEP)_<force>との相関係数はρ=0.9896となり,力センサによりIMEPモニタは充分に可能であることが確認できた.さらに力センサ出力に対し筒内圧の位相が遅れる分の補正を施すことにより,相関係数ρ=0.9995,直線性も改善されることが確かめられた.
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