Research Abstract |
本マネージメントシステムの機能の一つである,機関外部からの燃焼モニタリングの可能性について,肌製単気筒高速4サイクル機関(最大出力12kW/2600rpm,シリンダ径112mm,ストローク110mm,無過給)および松井鉄工製3気筒中速4サイクル機関(最大出力257.4kW/420rpm,シリンダ径230mm,ストローク380mm,過給機・空気冷却器付)を用いて実験を行った.単気筒高速機関ではロードワッシャ(9031A, Kistler製)をシリンダヘッドボルトとナット間に,一方,3気筒中速機関では歪みゲージ(KFG,共和電業製)をシリンダヘッドボルトに貼り付け,それらの増幅出力と指圧センサによる筒内圧を同時計測した.筒内圧を使って求めた熱発生率(dQ/dθ)と熱発生量(Q)に対し,ロードワッシャや歪みゲージ出力により算出した等価的なdQ'/dθとQ'がどのような関係にあるのか比較を試みた.単気筒高速機関で燃料噴射時期をBTDC11°とBTDC8°に変えた実験では,ロードワッシャ出力から算出した等価熱発生率および熱発生量は,dQ/dθおよびQと同様な変化を示し,等価熱発生率の立ち上がりから判定した着火時期は,dQ/dθによる値と0.5°以内の差で一致することが確認された.また,3気筒中速機関をアイドリング,25%,50%,75%,100%負荷(舶用特性)で運転した場合についても同様な比較を行った.歪みゲージ出力から算出した等価熱発生率および熱発生量は,dQ/dθおよびQと同様な変化を示し,等価熱発生率の立ち上がりから判定した着火時期は,dQ/dθによる値と1°以内の差で一致することが確認された.多気筒機関では,隣の気筒の燃焼に伴う圧力上昇が注目している気筒の歪みゲージ出力に重畳する,いわゆる気筒間干渉のT影響も確認を要する事現であったが,本実験の範囲内では,その影響は小さいことが分かった.、またアイドリングから100%負荷までの全データについて,筒内圧から求めたIMEPと歪みゲージ出力から算出した等価IMEPとの関係を調べてみると,両者の相関係数は0.97,比例関係にあることが分かった.一方,燃焼最高圧を歪みゲージ出力からモニタした場合の相関の程度は,使用するローパスフィルタのカットオフ周波数により変化する.それは,歪みゲージ出力のSN比が良好でないからである.カットオフ周波数を1kHzとすることで相関係数は0.98に改善されることが分かった.なお,動弁系の振動の検出について,加速度センサ(2220E, Endevco製)を吸排気弁箱固定ボルトに上下方向の加速度が検出できるように取り付け,その出力と歪みゲージ出力との比較を試みたが,歪みゲージ出力には動弁系の振動が重畳しておらず,この検出場所では動弁系の振動を検出できないことが判明した.この点については,歪みゲージの貼り付ヘッドボルトを弁箱側に変更して再実験をする計画である.また,マネージメントシステム異常振動演算部の積分回路について,エンジン回転速度に応じた修正を施す必要性があり,この点についても継続して検討する計画である.
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