2006 Fiscal Year Annual Research Report
制紙工程および粉末セルロース製造工程排水中の糖質の有効利用
Project/Area Number |
17560726
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
清水 祐一 苫小牧工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (80142694)
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Keywords | バイオマス / セルロース / 酸糖化 / 還元糖 / 電気透析 / 培地 |
Research Abstract |
1.製紙工程から排出されるセルロース繊維の硫酸糖化(加水分解) 製紙工程排水中の廃パルプのセルロース含有量は約42%で、残りは填料として添加された無機成分であった。この廃パルプを、前年度の精製パルプに対して最適条件であった、72%硫酸、室温で30分間前糖化しさらに20%硫酸に希釈後100℃で30分間後糖化した。加水分解率は60数%で、さらに分解残渣中に有機分が残存していたことから、セルロースは完全に分解せず、また無機成分のかなりの部分が溶解したことがわかった。糖化液中のグルコース収率は含有セルロースに対して50数%であることからも、セルロースの加水分解が十分に進行していないことが確認された。この糖化液を電気透析により脱酸した後、窒素源としてペプトンおよび酵母エキスを添加して培地を調製し、酢酸菌を植菌して微生物セルロース(以下BC)を合成したところ、標準培地の1/5程度のBCが生成した。従って、製紙工程排水中の廃パルプの酸糖化液はBC合成用の炭素源として有効であることが確認された。今後はBC収量の増加を目指したグルコース収率の向上および糖化液中の成分分析などが必要と考える。 2.粉末セルロース製造工程排水中の還元糖のを利用 前年度の結果、粉末セルロース製造工程排水中の還元糖の大部分はキシロースであり、これは酢酸菌によるBC合成の炭素源としては不向きであった。そこで今年度は、電気透析により排水中の硫酸を除去した後、これをグルコースイソメラーゼで処理してキシロースをキシルロースに異性化した。この異性化処理を行った排水を用いて各種培地を調製し、酢酸菌を植菌してBCの合成を試みたところ、異性化処理時間と共に明らかにBC収量の増加が認められた。従つて、粉末セルロース製造工程排水中に大量に含まれるキシロースは異性化処理によりキシルロースとすることでBC合成に有効利用が可能であることが確認された。今後は効率的な異性化方法の検討が必要と考える。
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