2006 Fiscal Year Annual Research Report
イットリウム系薄膜高温超伝導線材を用いた先進高安定浮磁気浮上コイルの開発
Project/Area Number |
17560735
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
柳 長門 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (70230258)
|
Keywords | 高温超伝導 / 磁気浮上 / Mini-RT / 永久電流 / 磁気遮蔽電流 |
Research Abstract |
先進のイットリウム系薄膜超伝導線材を約10メートルおよび50メートル調達し、それらを用いて小型のダブルパンケーキコイル2個(外径約100mmおよび140mm)を製作して、フィールドクーリング法を用いて永久電流を誘起するとともに、磁気浮上実験を行った。まず、10メートルの線材長のコイルについては、約7時間の永久電流減衰時定数を測定し、これを用いて極めて安定な磁気浮上を実現するとともに、フィードバック制御を伴わない自己安定な浮上も可能であることを確認した。この浮上コイルは小さいながらも、世界初のイットリウム系高温超伝導磁気浮上コイルとなった。また、コイルとは別のサンプルを用意して接続抵抗を測定し、永久電流の減衰時定数が主に接続抵抗で決まっていることを確かめた。この結果を受けて、次に、線材長50メートルのコイルを製作し実験を行ったところ、200時間を超える永久電流の減衰時定数を達成した。この時定数もやはり接続抵抗が支配的で決まっていることがわかったが、励磁方法を工夫すると減衰の様子が変化するとともに、条件によっては電流値が最初の過程で逆に上昇することもあることを発見した。この現象に関する数値解析を行った結果、線材に誘起される磁気遮蔽電流と主電流の磁気的結合による効果によってほぼ説明が可能であることがわかった。一方、永久電流の減衰特性を詳細に調べるために数回連続して冷却と励磁を繰り返したところ、ある時点より減衰時定数が急激に短くなってしまった。これは、冷却時間を十分に長く取らなかったために、過剰な熱歪みが加わったことが原因であると考えられる。永久電流が短いながらも磁気浮上実験を行うことはできたが、残念ながら浮上安定性については完全なデータを取得することができず、現状は若干の課題が残る結果となった。
|