2006 Fiscal Year Annual Research Report
高純度トリチウムによる金属-水界面での水素同位体移行挙動の解明とその制御
Project/Area Number |
17560737
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
林 巧 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究主幹 (70354678)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 博文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究副主幹 (20354615)
磯部 兼嗣 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (00354613)
奥野 健二 静岡大学, 理学部, 教授 (80293596)
小林 和容 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 核融合研究開発部門, 研究職 (40354609)
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Keywords | 構造・機能材料 / 水素同位体 / 表面・界面物性 / 挙動解析 / トリチウム / オートラジオグラフィー / 鉄 / 酸化膜 |
Research Abstract |
今年度は、昨年度の、初期に酸化物層が存在しない純鉄試験体による金属-水界面水素同位体移行試験の結果に基づき、新に、界面に酸化膜層を有する純鉄試料を用いた試験を実施した。これらの結果を、表面酸化膜の成長の観察とともに比較し、トリチウムの界面での存在状態観察の試みや計算機的手法による移行解析とも比較して、界面での水素同位体の移行機構を検討した。成果を、国内外の学会で報告・議論・情報収集し、論文として纏めた。以下に、具体的成果を示す。 1)酸化膜試料は、150℃、8気圧の高温水中で自然形成させて調整し、10時間で約0.6μm、20時間で約1.4μm程度の緻密な膜の成長を観察した。 2)試料配管内部に7.4GBq、1kPaの高純度トリチウム(>90%)を封入し、150℃、8気圧で水容器中に移行するトリチウムを純He及び1%水素添加Heでパージし、水中での存在化学形を弁別しつつ連続的に移行量を把握した。 3)結果、水へのトリチウムの移行速度はガス透過係数から計算機的手法により求めた値の約1/5程度で、酸化膜の有無・成長に影響無く定常的に移行していることが判明した。 4)水中に移行したトリチウムは、初期に酸化物層がない場合はHTとしても存在したが(HTが>30%、他はHTO)、酸化膜の自然成長とともにHTは健著に減少し、約1.4μmの酸化膜存在下では殆どHTOとして存在するように劇的に変化することが判明した(HTは<1%)。 5)パージガスとして水素の導入(溶存水素濃度の上昇)を試みたが、実験条件の範囲内で顕著な変化は無かった。 6)以上の結果より、金属-水界面での水素同位体は、界面に酸化膜が存在しない場合は再結合してガス状で、酸化膜が存在する場合は水酸基等を形成するなど相互作用し、その後主として水分子との同位体交換反応で水分子として水相に移行することが示唆された。 7)日本原子力学会2006秋の大会、2007年春の年会、IAEA及びANSの核融合エネルギーに関する国際会合に参加し、情報収集するとともに、成果を報告・議論し、論文を纏めた。
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