2006 Fiscal Year Annual Research Report
陽電子ビームを用いたナノボイドのリアルタイム検出によるボイド核生成機構の解明
Project/Area Number |
17560742
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 岳夫 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (30272529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 弘亨 東京大学, 大学院・工学系研究科, 准教授 (40343925)
土田 秀次 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50304150)
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Keywords | ボイドスエリング / 陽電子ビーム / ニッケル / イオン照射 |
Research Abstract |
イオン照射下で生成する空孔型欠陥は低速陽電子ビーム測定装置と高エネルギーのイオン加速器との結合照射システムを用いてリアルタイムに解析された。ニッケルとアルミニウムの2種類のFCC金属に対して、陽電子ビームドップラー測定を、イオンビームonとoffの条件でサイクリックに実施した。ニッケルではイオンビームonの条件ではoffの条件に比べて消滅γ線エネルギースペクトルが尖鋭化したが、アルミニウムではその現象は観測されなかった。ニッケルの結果は照射中の空孔濃度が、照射後に生き残る空孔の濃度と比較して高いことを強く示している。すなわち、照射下での空孔濃度には過渡的に存在する空孔を含む。そのような過渡的な空孔の形成は、欠陥蓄積過程あるいは空孔の集合過程に密接に関連がある。 ここで試行したイオンビーム照射下リアルタイム陽電子ビーム観測法は、イオン照射環境下で材料中に生成する空孔型欠陥の調査のための強力なツールとして役立つことが示された。陽電子消滅γ線のドップラー広がりは欠陥の特徴(例えば密度と空隙サイズ)に関する相対的な情報を与えるが、定量的情報にやや欠ける面がある。対照的に、陽電子寿命測定は、定量的情報を得ることが可能であり、我々は、照射効果(特に照射の間、一時的に誘導される空孔型欠陥の特徴の量的理解)に対するより正確な洞察を得るために、イオン照射下でリアルタイムに陽電子寿命の測定を行う実験に今後発展させる予定である。 また、ニッケルでイオン照射によって生成する空孔型欠陥の形成プロセスは、照射下陽電子ビーム実験の適当な実験的な条件を見つけるために可変エネルギー陽電子ビームドップラー測定により調査され、照射温度773Kのおよそ0.1-0.4dpaあたりが適当だと推測された。
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Research Products
(3 results)