2006 Fiscal Year Annual Research Report
高速重イオンビーム励起時間分解吸収分光法の基礎研究
Project/Area Number |
17560746
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90362631)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 陽一 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (50210729)
小嶋 拓治 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用部門, 研究員 (80354934)
田口 光正 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用部門, 研究員 (60343943)
近藤 孝文 大阪大学, 産業科学研究所, 特任助手 (50336765)
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Keywords | 計測工学 / 時間分解吸収分光 / イオン照射効果 / 重イオンビーム / 放射線化学初期過程 |
Research Abstract |
1.高S/N吸収分光法システムの設計と製作 前年度の研究成果を発展させ、X線ノイズの対策や微小なシグナルの検出を目指した高S/Nの測定システムを開発した。本システムでは、X線ノイズを減らすために、イオンビームがシンチレーターを通過する際発生した分析光を、光ファイバーを通して光測定系に導かれた。また、大気中のバルスイオンビーム照射方法を検討し、新たなセルホルターの製作と光吸収測定光学系の改良を行い、大気中でも測定可能な重イオンパルスラジオリシスの開発に成功した。 2.イオン励起時間分解吸収分光システムの性能評価と重イオン誘起初期過程の解析 性能評価の実験では、TIARAのAVFサイクロトロンからの220MeVC^<5+>イオン(繰り返し、80MHz)を用いた。そのイオンビームは、チョッパーによりナノ秒イオンバルスを切り出し、シンチレーターを通過し試料に入射した。イオンビームがシンチレータを通過する際の発光を分析光とした。光ファイバーを通して光測定系に導かれた。シンチレーターにCaFn_2(940ns、435nm)を用いた。これまでの研究では、分析光強度を正確に測定する事が困難だった。これはイオンビームが光源であると同時に励起源であることが原因であった。この問題を解決するために、測定する波長領域で、吸収も発光もほとんどない塩化メチレンをサンプルの溶媒として用いた。これにピレンを溶解し、重イオンビーム誘起により生成されたピレンカチオンラジカルの過渡吸収の測定に成功した。 また、測定した過渡吸収挙動を低LET放射線(電子線)誘起により初期過程と比較し、高密度励起のモデル化等と通してナノ秒時間領域での重イオン誘起初期反応機構の解明を行い、新しい照射効果の探索や重イオンビームの高度利用などへの展開を行った。
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