2006 Fiscal Year Annual Research Report
高温水蒸気改質プロセスを用いた廃プラスチックからの水素製造に関する研究
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17560750
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉川 邦夫 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (70134848)
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Keywords | 水素製造 / 廃プラスチック / 触媒水蒸気改質 / 熱分解 / ルテニウム / PET |
Research Abstract |
バッチ式の熱分解・水蒸気改質装置を用いて、プラスチックの大半を占めるポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリスチレン(PS)の3種類の純粋なプラスチック材料を用い、改質触媒として、Ru/Al_2O_3触媒を用いて、改質温度、触媒層での滞留時間、水蒸気比(投入する水蒸気のモル数[モル/秒]/熱分解ガス中のCのモル数[モル/秒])の3つの運転パラメータが、水蒸気改質特性に与える影響について調べた。 最初に、滞留時間を1.5秒、水蒸気比を1に固定して、改質温度が水蒸気改質反応に及ぼす影響を調べた。その結果、改質温度が高いほど、ガスへの転換率、水素生成量共に増加するが、いずれのプラスチック材料も、600℃でほぼすべてガス化され、無触媒条件下においては1000℃以上の改質温度が必要とされるが、それより約400℃低い温度で十分改質が可能であることがわかった。次に改質温度を600℃、水蒸気比を1に固定して、触媒層での滞留時間を変化させて、その影響を調べたところ、完全にガス化し、十分な水素生成を行うには、プラスチック材料の種類により、1〜1.5秒程度の滞留時間が必要であることがわかった。最後に、改質温度を600℃、触媒層内での滞留時間を0.9秒に固定して、水蒸気比が水蒸気改質特性に及ぼす影響を調べた。その結果、いずれのプラスチック材料でも、50〜65%の水素濃度の生成ガスが得られており、本システムが水素リッチなガス生成に有効であることが示された。 最後に、熱分解ガスを冷却すると、テレフタル酸等の凝縮物が生じることから、熱分解処理が困難とされていたPET材に注目し、上述のような実験を行った。その結果、熱分解生成物のうち、凝縮物が40%を占めて、ガス成分が25%しかなく、そのガス成分中には水素がほとんど含有されていなかったのに、触媒水蒸気改質を行った結果、凝縮物は完全になくなり、全体の30%を占める残渣以外はすべてガス成分に変換され、ガス中の水素濃度も44%にまで上昇することが確認された。
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Research Products
(2 results)