2006 Fiscal Year Annual Research Report
溶融金属中に分散した水滴の直接接触沸騰熱伝達に関する研究
Project/Area Number |
17560751
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三島 嘉一郎 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (60027472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沈 秀中 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (20362410)
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Keywords | 中性子ラジオグラフィ / 液体金属流れ / 高速増殖炉 / 鉛ビスマス / 直接接触熱伝達 / 熱交換器 / 自然循環 / 液滴蒸発 |
Research Abstract |
近年、液体金属冷却式高速増殖炉と直接接触式蒸気発生器を組み合わせた概念設計がなされている。このような蒸気発生器では、高温の溶融金属中に直接水を噴射させ、液液界面における核沸騰により熱輸送を行うため、熱交換能力が非常に高い。しかしながら、溶融金属-水の液液界面における沸騰熱伝達特性に関しては、いくつかの研究が行われているものの、十分な実験データは得られていない。本研究では、溶融金属中に分散した水滴の直接接触沸騰挙動を中性子ラジオグラフィを用いて可視化・計測を行うことを目的とする。17年度には加熱・溶融したニュートン合金中に水滴を吹き込み、溶融金属中に分散した水滴の直接接触沸騰挙動の中性子ラジオグラフィ高速度撮像法を用いて可視化計測を行った。水-液体金属に関する過去の研究では、液滴の射出とともに液滴の微細化を伴う急激な沸騰が生じ、蒸発完了時間も極めて短いことが報告されているが、本実験では、現象は水-有機溶媒系とほぼ同様であり、液滴の微細化は観察されなかった。このことは、液滴噴射ノズルにおける固液界面における沸騰の影響と考えられ、本実験では、液体金属相に温度勾配をつけることで、この影響を排除できた。平成18年度は、実験結果から、実現象に適用可能な構成式を導出し、従来の水-有機溶媒系の直接接触熱伝達率との比較を行った。計測結果から、界面における熱伝達率は従来の熱伝達式と同様の形で表すことができ、連続相(すなわち液体金属)における伝熱律速であることがわかった。しかし、無次元熱伝達率は、水-有機溶媒系に比べて小さい。これは蒸発過程における水と液体金属との濡れ性が影響しているものと考えられるため、今後、蒸発過程における両相の濡れ性を詳しく調べることが必要である。
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