2008 Fiscal Year Annual Research Report
チゴガニ地域集団間における社会行動の変異と遺伝的変異
Project/Area Number |
17570021
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
和田 恵次 Nara Women's University, 共生科学研究センター, 教授 (80127159)
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Keywords | 社会行動 / 遺伝的構造 / 地理的変異 / waving display / バリケード / 干潟 / チゴガニ |
Research Abstract |
チゴガニ各地域集団におけるwaving displayの特徴とバリケード構築頻度の特微、さらに地域集団間の遺伝的類縁関係が、現地調査で得たサンプル、データの解析から明らかになった。即ち、waving diplayの特徴(はさみ脚の伸脚性の強さ)もバリケード構築行動の特徴(頻度)も、日本本土(宮城、千葉、和歌山、熊本)と奄美大島以南の南西諸島(奄美大島、沖縄島)の間で大きく相違すること、またバリケード構築行動頻度の違いは、それぞれの地域集団の個体に固有の、障壁物に対する忌避性に由来するものであること、即ちバリケード構築行動の頻度が高い集団では、障壁物に対する忌避性が高いという特徴がみられることが示された。さらに日本本土と奄美大島以南との間には、集団間の遺伝的な相違(ミトコンドリアDNACOi領域)も大きく、その違いは別種レベルに近いほどであることが示された。これら成果は、2編の論文としてまとめられ、国際誌に投稿し、掲載にまでもっていくことができた。 日本本土と奄美大島との間でのwaving displayの違い(はさみ脚の伸脚性の強さの違い)が、それぞれの集団に固有の行動特性によるものか、それとも現地のもつ外的要因によるものかを検証するため、昨年度実施した和歌山と奄美大島との問での相互移植実験の結果がとりまとめられた。即ち、移植個体は、移植先でも、元の生息地で示していたwaving displayの特徴を示すことが明らかとなり、この成果を投稿論文としてまとめ、日本甲殻類学会大会でも発表した。以上より、本研究は当初計画していた目的がほぼ遂行できた結果となったといえる。
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Research Products
(6 results)