2006 Fiscal Year Annual Research Report
食物連鎖を通じて被食者から捕食者へ伝播する氷核物質の同定とその機能解析
Project/Area Number |
17570024
|
Research Institution | Miyagi Gakuin Women's University |
Principal Investigator |
田中 一裕 宮城学院女子大学, 学芸学部, 教授 (00316415)
|
Keywords | オオヒメグモ / 氷核物質 / 季節性 / 地理的分布 / 耐熱性 / 食物連鎖 / 低温生物学 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、氷核物質の季節消長と地理分布に関する野外調査をおこなった。昨年度と同様に、さまざまな季節、さまざまな地域から採集した昆虫の体内に蜘蛛の体組絞の凍結開始温度(SCP)を高める氷核物質の存在が確認された。氷核物質は、野外に普遍的存在していると間考えて間違いがなさそうだ。 その広い地理分布から、蜘蛛のSCPを高める氷核物質の候補として自然界に普遍的に存在する粘土鉱物や氷核活性微生物が想定される。氷核物質の同定にむけて、今年度は氷核物質の熱耐性に関する実験を行った。もしも水核物質が粘土鉱物の類であるなら、熱処理をしても氷核活性に変化は生じないはずである。一方、氷核物質がバクテリアなど生物由来のものであるなら、熱処理によりその活性が低下すると考えられる。そこで、ワラジムシを60℃から90℃までさまざまな温度条件下に1時間置いた後、消化管と取り出してこれをコオロギに食べさせ、さらにそのコオロギを蜘殊に食べさせてSCPの変化をみた。熱処理(80℃)は氷核活性を有意に低下させた。この事実は、氷核物質がバクテリアのような生物由来のものからなる;とを強く示唆している。この結果は、短報として日本蜘妹学会誌に投稿した(Tanaka 2006)。 氷核物質がより高次の捕食者に及ぼす影響を明らかにするため、アマガエルにシバスズ(コオロギの1種)の野外採集個体および室内飼育個体を与え、摂食後のSCPを測定した。野外由来のコオロギを食べたカエルのSCPは室内飼育コオロギを食べたカエルに比べ高まる偏向が見られた。カエルのSCPの決定メカニズム解明にむけ、今後さらに検討を続けていく予定である。
|
Research Products
(1 results)