2006 Fiscal Year Annual Research Report
最適潜水行動の比較による在来種カメと外来種カメの資源競争および共存機構の解明
Project/Area Number |
17570025
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
森 貴久 帝京科学大学, 理工学部, 講師 (90367516)
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Keywords | 外来種 / 競争 / アカミミガメ / 潜水行動 |
Research Abstract |
外来種のアカミミガメと在来種のクサガメの潜水生態の違いと他種への影響を実験的に明らかにするため,両種の個体に潜水深度を記録するデータロガーを装着して水槽実験を行ない,各種が単独で採餌するときと他種と一緒に採餌するときとで潜水行動がどのように変化するかを調べた。このとき,カメの成長段階による影響があるかを確かめるため,体サイズが大きいものと小さいものを用意して比較した。 結果は,他種の存在の影響は体サイズによって異なっていて,一般的に大きい個体ではクサガメはアカミミガメよりもよく水中を利用したが,小さい個体ではアカミミガメのほうがよく水中を利用した。たとえば大きい個体の場合,クサガメとアカミミガメが単独で水槽を利用するときの平均潜水時間はそれぞれ50秒と164秒だったが,他種と一緒に利用したときにはそれぞれ216秒と130秒になり,クサガメは長くなり,アカミミガメは短くなったのに対し,小さい個体では,単独利用時ではそれぞれ251秒と78秒だったのが,他種と一緒に利用したときにはそれぞれ232秒と70秒とあまり変わらなかった。また,水底に滞在していた時間割合は,大きい個体の場合,単独でいるときはそれぞれ0.276と0.529だったのが,一緒にいるとそれぞれ0.464と0.436になり,クサガメは効率が高くなりアカミミガメは低くなった。小さい個体の場合は,単独でいるときはそれぞれ0.451と0.101だったのが,一緒にいるとそれぞれ0.371と0.165になり,クサガメは低くなりアカミミガメは高くなった。 これらの結果は,他種の存在の影響の大きさはカメの成長段階によって異なることを示唆していて,小さい段階ではクサガメはアカミミガメによって水中利用を制限されるが,大きくなると逆にクサガメがアカミミガメの水中利用を制限する可能性を示している。
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