2005 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質のS-ニトロソ化修飾を介する植物機能制御の解明
Project/Area Number |
17570039
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂本 敦 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (60270477)
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Keywords | タンパク質S-ニトロソ化 / 活性窒素 / NOシグナリング / S-ニトロソチオール / GSNO還元酵素 / 無機窒素同化 / S-ニトロソグルタチオン / アラビドプシス |
Research Abstract |
S-ニトロソグルタチオン還元酵素(GSNOR)は申請者が植物から初めて同定し,新規な生体生理活性物質であるS-ニトロソ化合物の代謝を司る鍵酵素と推定されている。GSNORの活性を遺伝子工学的に改変した形質転換シロイヌナズナを用い,本酵素と新規な翻訳後機能調節メカニズムである蛋白質S-ニトロソ化修飾との生理的関連などを中心に調査し,今年度は以下の点を明らかにした。 (1)硝酸などの無機窒素処理や二酸化窒素・NO供与薬剤などの活性窒素処理により,シロイヌナズナではS-ニトソロ化合物含量が著しく増大することを明らかにした。これらのS-ニトソロ化合物の大半は高分子量画分に回収されることから,その実体はS-ニトロソ化蛋白質と推定された。 (2)ビオチンスイッチ法を適用し,シロイヌナズナにおけるS-ニトソロ化合物レベルとS-ニトロソ化蛋白質レベルの変動の相関を調査した。その結果,NO供与薬剤処理により,野生株ではS-ニトロソ化蛋白質レベルが上昇するが,GSNOR過剰発現株では野生株で観察されたその上昇は有意に抑制されることが明らかとなった。この結果から,S-ニトソロチオールの実体がS-ニトロソ化蛋白質であることのみならず,GSNORが蛋白質のS-ニトソロ化修飾に重要な役割を果たしていることが支持された。 (3)シロイヌナズナのマイクロアレイデータを用いた共発現解析により,GSNOR遺伝子の発現がS-ニトソロ化の標的蛋白質候補であるActinやActin-Depolymerizing Factorなどの遺伝子と協調的に発現していることを明らかにした。この結果から,翻訳後イベントであるS-ニトロソ化修飾機構に影響を与える転写制御ネットワークが存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(8 results)