2006 Fiscal Year Annual Research Report
葉緑体の細胞内運動をつかさどる新規運動メカニズムの解析
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17570042
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
門田 明雄 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 助教授 (60152758)
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Keywords | 葉緑体運動 / アクチンフィラメント / 光運動反応 / フォトトロピン / シロイヌナズナ / GFP |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、GFP-talinを発現するシロイヌナズナのアクチンフィラメント可視化株を材料に、葉緑体光定位運動の運動メカニズムを解析し、この新規運動機構の特徴を明らかにした。これまで蛍光顕微鏡下の観察から、葉緑体表面には特異的な短いアクチンフィラメントが存在し、青色光による葉緑体の集合運動・逃避運動、いずれでも葉緑体の運動方向前端にこのアクチンが局在化し、葉緑体の運きが生じることがわかっている。そこで、葉緑体光定位運動に関連することが期待されるいくつかのアクチン結合タンパク質遺伝子T-DNA挿入変異体をシロイヌナズナの突然変異体リソースから単離し、その葉緑体光定位運動の変化を調べたが、明らかな変化は認められなかった。葉緑体光定位運動の光受容体であるフォトトロピン1、2の変異体を用いて、青色微光束照射下での葉緑体特異的アクチンの変化を調べた。フォトトロピン1、2はそれぞれ、集合反応のみ、集合反応と逃避反応の双方、を介在することがわかっているが、これらの一重変異体では青色光の光強度にかかわらず、また、誘導される反応が集合反応であるか逃避反応であるかにかかわらず、運動する葉緑体の前端部にアクチンの局在化が生じることがわかった。さらに、青色光による光定位運動がまったく誘導されないフォトトロピン1、2の二重変異体でも葉緑体上のアクチンは存在するものの、青色光刺激による局在化が起こらないことから、フォトトロピン1、2両者ともに葉緑体上のアクチン局在化を制御していることが明らかとなった。以上の結果はフォトトロピン1、2の制御のもとに葉緑体上で局在化することで光定位運動が生じることを示している。しかし、ミオシンとの相互作用のもと、アクチンの局在化がどのようにして力を発生し、葉緑体の運動を誘導するかについては、今後の課題である。
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Research Products
(1 results)