2005 Fiscal Year Annual Research Report
不等毛藻類で見られる鞭毛異質性についての分子細胞生物学的研究
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17570047
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本村 泰三 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長里 千香子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (00374710)
加藤 敦之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90177428)
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Keywords | オクロモナス / 急速凍結置換法 / コルヒチン / シオミドロ / 電子顕微鏡 / 微小管 / 不等毛藻類 / 鞭毛伸張 |
Research Abstract |
本年度は不等毛藻類である黄金色藻オクロモナス及び褐藻シオミドロを材料に、構造も機能も異なる2本の鞭毛の伸張過程について研究を進めた。 オクロモナスの長短2本の鞭毛は間期ではそれぞれ14.1±1.9μm、3.4±0.7μmである。激しく細胞を振盪することにより鞭毛を切断し、その後の長鞭毛の伸張過程を調べたところ、切断後1-2時間までの速度が特に速く、切断後1時間で鞭毛長は平均6.2μmに達した。細胞分裂時の鞭毛複製・伸張の場合、長鞭毛の伸張速度は平均6.7μmまでは特に速く、鞭毛新生開始後わずか15分で伸張した。次に、細胞周期の様々なステージでコルヒチンによる微小管脱重合実験を行った。間期ではコルヒチン処理により長鞭毛は8.9±12.4μmになり、短鞭毛においてはほとんど観察できなくなった。細胞分裂時にコルヒチンを処理すると長鞭毛は4.0±1.3μm、短鞭毛は1.6±1.9μmとなった。以上の結果から、オクロモナスの長鞭毛では、鞭毛基部から6-7μmの部分は鞭毛伸張において極めて速い形成が可能の部分であると考えられる。また基部から10μmの部分は鞭毛軸糸は安定した構造を持つと考えられる。つまり鞭毛先端4μm程度の部分はチューブリン分子の重合・脱重合が盛んに行われている部分と考えられる。 シオミドロにおいては複子嚢において遊泳細胞形成時での鞭毛伸張過程について急速凍結置換法を用いた電子顕微鏡観察を進めた。その結果、長短2本の鞭毛は同時に伸張を開始し、その後の伸張速度の違いから長さの違いが生まれることが明らかになった。また、褐藻複子嚢内での鞭毛伸張では鞭毛付近の細胞膜から形成された小胞が鞭毛膜に融合していることが観察できた。特に後鞭毛に局在する走光性に関与していると考えられる電子密度の高い物質はこの様な小胞を介して輸送されていると考えられた。前鞭毛に特異的に付着しているマスチゴネマの輸送・付着機構については現時点では不明である。
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Research Products
(5 results)