2006 Fiscal Year Annual Research Report
不等毛藻類で見られる鞭毛異質性についての分子細胞生物学的研究
Project/Area Number |
17570047
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本村 泰三 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (30183974)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長里 千香子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教授 (00374710)
加藤 敦之 北海道大学, 大学院理学研究院, 教授 (90177428)
|
Keywords | オクロモナス / 核分裂 / 蛍光抗体法 / シオミドロ / 電子顕微鏡 / 不等毛藻類 / 鞭毛形成 / マスチゴネマ |
Research Abstract |
本年度も昨年度同様に不等毛藻類である黄金色藻オクロモナス及び褐藻シオミドロを材料に、構造も機能も異なる2本の鞭毛の伸張過程について研究を進めた。特にオクロモナスについてはその核分裂過程について透過型電子顕微鏡観察と蛍光抗体法による観察から明らかにした。オクロモナスの核分裂は核膜開放型であり、両極には複製した鞭毛基部から伸張する繊維状構造をとるリゾプラストが存在しており、その部分から紡錘体微小管が染色体に向かって伸びている。リゾプラストは従来セントリンタンパクから構成されると考えられてきたが、抗セントリン抗体を用いた蛍光抗体法では、セントリンの局在は鞭毛基部にのみ観察され、リゾプラストには観察できなかった。しかしながら抗γ-チューブリン抗体を用いた観察ではリゾプラストに陽性反応があることが明らかになった。以上の結果は真核藻類の遊泳細胞で広く見られるリゾプラストが、不等毛藻類の分類群においてその構成タンパク質が異なることを示している。 また、不等毛藻類における長短鞭毛では長鞭毛の表面にマスチゴネマと呼ばれる小毛が特異的に付着していることが知られている。オクロモナスを材料にマスチゴネマを構成するタンパク質について調査し、現在まで2種類の新規タンパク質を同定した。さらに現在までマスチゴネマ構造は葉緑体ER内において観察できるという報告があるが、それがどのような経路を経て、長鞭毛に特異的にかつ整然と付着できるかは不明のままである。そこで、オクロモナス細胞分裂時と褐藻シオミドロ遊泳細胞形成時での鞭毛形成過程に焦点を絞り長鞭毛へのマスチゴネマ付着過程の観察を試みたが、決定的な証拠となる電顕像を得ることはできなかった。
|