2005 Fiscal Year Annual Research Report
爬虫類実験動物の開発と生殖現象に対する環境温度の作用機構の解明
Project/Area Number |
17570048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴 民根 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00228694)
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Keywords | 爬虫類 / 性決定 / 性分化 / 温度依存性性決定 / GnRH / steroid hormone / 鳥類 / 生殖腺 |
Research Abstract |
様々な環境に生息している爬虫類は、脊椎動物の中で最も多様な生殖戦略を獲得し、繁栄している動物群でもある。このことから、爬虫類動物を研究モデルとし、多様な環境適応を可能とした生殖情報伝達系の仕組みを解明するために本研究を始めた。 本年度は、ヒョウモントカゲモドキを爬虫類研究の実験動物として利用できる飼育室の環境を整えると共に、飼育法の改良を進めた。本年度よい孵化率を見せたコオロギとミールワームを餌の中心とした飼育法を軸に今後も更に改良していくつもりである。 ヒョウモントカゲモドキでの生物学的特長を生かした研究のために必要な様々な遺伝子の同定とその遺伝子の発現を調べる競合PCR法の開発を行った(prolactinとその受容体,2種のGnRHとその受容体3種,PPAR(peroxisome proliferator activated receptor))。また、トカゲでの研究結果の内容が非爬虫類では見られない爬虫類特異的な現象であるかを確かめるために、魚類のGnRH受容体と鳥類のGnIHとその受容体の分子同定も行い、比較解析した。 温度依存性性決定の分子機構の解明のための研究も確実に進めて、その軸となる遺伝子(P450scc,P450arom,SF1,各ステロイドホルモンの受容体)の同定と発現量の定量的測定法を開発し、性決定期の前後での発現率を解析した。その結果、爬虫類と鳥類での脳と生殖腺の性ステロイド情報伝達系が同時に形成されていくことを明らかにすることができた。性ステロイド情報伝達系は性決定と性分化に中心的な役割をしており、今まで哺乳類を中心とした研究で得られた生殖腺の性決定に追随すると思われる脳の性分化が爬虫類と鳥類では異なっていることを意味している。 以上の研究の一部は既に学術冊子に論文として出版されると共に、国内外での学会でも発表している。
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