2006 Fiscal Year Annual Research Report
爬虫類実験動物の開発と生殖現象に対する環境温度の作用機構の解明
Project/Area Number |
17570048
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
朴 民根 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (00228694)
|
Keywords | 爬虫類 / 性決定 / 性分化 / 温度依存性性決定 / GnRH / steroid hormone / 鳥類 / 生殖腺 |
Research Abstract |
様々な環境に適応・生息している爬虫類は、脊椎動物の中でも最も多様な生殖戦略を獲得している動物群でもある。こうした環境適応の背景である生殖情報伝達系の全体像を明らかにすることを目的に、艀卵温度によって性が決定されるあるヒョウモントカゲモドキをモデルとし、本研究を始めた。 前年度までに同定したステロイドホルモン合成酵素・ステロイドホルモン受容体・GnRH受容体に引き続き、本年度はトカゲのオス個体での性分化指標となりうる遺伝子の1つDMRT1 mRNAの部分配列の同定を行い、性決定期前後での発現解析を行った。その結果、性決定期の生殖腺において、異なった艀卵温度に置かれた胎仔間でその発現量に差があることが示唆された。現在定量PCR系を確立し、詳しい発現量を調べている。 一方、性決定期前後でのトカゲの脳・生殖腺でのステロイドホルモン合成酵素の発現を調べたところ、P450sccにおいてはその発現量が生殖腺の性比と相関が高く、生殖腺の性周期制御に関わる脳部位の性分化に関与していることが、P450aromにおいてはその発現量は艀卵温度との相関が高く、性行動制御に関わる脳部位の性分化に関与していることが示唆された。今後、両酵素の発現部位を調べ、脳での機能部位を特定する予定である。 また比較のために、性染色体により性が決定されるニワトリの胚の脳でも同様な実験を行ったところ、SF-1の発現が排卵5.5日においてメスよりオスで強く発現しており、その発現が脳のVMHに局在していることも明らかにした。 その他では、エストロゲン受容体α・β両者のmRNA配列の全長配列同定を完遂し、成体や性決定・性分化期の胎仔の組織発現を詳細に調べた。すでに同定済みであった3種のGnRH受容体に関しては機能解析を行い、各受容体サブタイプの受容体相互作用を調べ、その生理的役割について発現分布と合わせて考察を行った。
|