2005 Fiscal Year Annual Research Report
植物含有エストロゲン作用物質の生殖機能発達への影響
Project/Area Number |
17570052
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10053357)
|
Keywords | 植物エストロゲン / クメステロール / 脳の雄性化 / 新生期投与 / 排卵周期 / ロードーシス / ラット |
Research Abstract |
本年度はクローバ類に多く含まれる植物エストロゲン、クメステロール(coumestrol, CM)が脳の機能の雄性化を引き起こすことを明らかにした。クメステロールはエストロゲンβ受容体に強く作用することが知られている物質である。 出生5日目の雌ラットに1mg(10匹)または3mg(11匹)のCMを皮下投与し、対照群としてはごま油(オイル群、11匹)、1mgエストラジオールベンゾエート(E2)(11匹)、大豆に多く含まれる植物エストロゲンの一つであるゲニステイン(genistein、GS、6匹)を1mg投与した。膣の開口日、開口後の膣スメアーチェックを行い、60日目に卵巣摘出し、卵巣重量測定と組織検査を行った。卵巣除去後、エストロゲンチューブを皮下挿入して雌性行動であるロードーシスの発現を調べた。その結果、オイル投与群、GS群の膣開口は34日前後であるのに対し、CMとE2投与群は25日前後と早まった。膣スメアー検査の結果では、オイルとGS群は正常な4日周期を示したが、CM群とE2群は正常な4日周期を示さなかった。オイルとGS群の卵巣重量は左右合わせて90mgほどであったが、CMとE2群は35から50mgと小さく、黄体が全く見られなかった。性行動テストの結果は、E2と3mgCM投与雌はロードーシス行動の発現が強く低下したが、1mgCMとGS投与ラットはオイル群と同程度のロードーシス行動を示した。以上の結果から、1mgCMは性周期形成機構の発達をエストロゲンと同様に抑制し、また、3mgのCMは雌性行動の発現も抑えてしまうことが明らかとなった。このように、ラットにおいてクメステロールは脳の生殖機能を雄性化するエストロゲン作用を有していることが示された。
|
-
[Journal Article] Suppressive effect of neonatal treatment with a phytoestrogen, coumestrol, on lordosis and estrous cycle in female rats2005
Author(s)
Kouki, T., Okamoto, M., Wada, S., Kishitake, M., Yamanouchi, K.
-
Journal Title
Brain Res.Bull 64(5)
Pages: 449-454
-
-
-