2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物含有エストロゲン作用物質の生殖機能発達への影響
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17570052
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山内 兄人 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (10053357)
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Keywords | 植物エストロゲン / レスベラトロール / 脳の雄性化 / 新生期投与 / 排卵周期 / ロードーシス / クメステロール / 母性行動 |
Research Abstract |
1.ラット脳雄性化に対するレスベラトロールの影響:植物エストロゲン、resveratrol(Resv)が脳機能の雄性化にどのように働くか調べた。出生5日目の雌ラットに5mg Resv、ごま油(oil)、1mg estradiol(E2)を皮下投与、膣スメアーによる排卵周期、ロードーシス発現を調べた.その結果、オイル群の膣開口は32日前であるのに対し、E2群は26日前後と早まった。しかし、Resv群は34日とoil群とかわりがなかった。膣スメアー検査の結果では、オイル群は正常な4日周期を示したが、Resv群とE2群は正常な4日周期を示さなかった。oil群の卵巣重量は左右合わせて95mgほどであったが、E2群は53mgと小さく、Resv群は86mgであった。性行動テストの結果では、E2群はロードーシス行動の発現が強く低下したが、Resv群はオイル群とかわりがなかった。以上の結果から、5mg res veratrolは性周期形成機構の発達をエストロゲンと同様に抑制する働きをもつが、性行動には影響が無いことが示された。 2.母性行動に対する植物エストロゲンの投与効果:60日齢の卵巣除去雌ラットに出生直後の新生児を与え続けると母性行動をするようになる。それに対し、エストロゲン、植物エストロゲンであるcoumestrolがどのように作用するか調べた。1mg estradiol benzo ate(EB),1mg coumestrol(CM),オイルを10日間投与し、6日目より5日間行動観察した結果、オイル群は5日目(中央値)に母性行動を開始したが、EB群は1.5日目と早まった。一方、CM群は4.5日とオイル群と差が無かった。これにより植物エストロゲンは母性行動を促進するほどエストロゲン効果が強くないことが明らかになった。
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