2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17570058
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 良一 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90165837)
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Keywords | 成長因子 / インクジェットプリンタ / 細胞分化 / 幹細胞 |
Research Abstract |
生体内の細胞は様々な成長因子や細胞外基質分子の影響の下、増殖、移動、分化、細胞死を繰り返している。しかし、因子の種類が複数になると実験系が複雑になり実行が困難となる。一方、コンピュータ制御されたカラーインクジェットプリンタは数種類の液体を任意のパタンで正確に吐出する機能をもっている。本研究では、このインクジェット技術を細胞生物学のツールとして用い、6種類以上の成長因子を用いた成長因子アレイを作製し、幹細胞の分化運命の制御を試みることを目的とした。 我々はペプチド成長因子である繊維芽細胞成長因子-2(FGF-2)、インスリン様成長因子-1(IGF-1)はトシル化した活性化デキストランを用いて培養基質ポリスチレンに架橋しても、成長因子活性を保持されることを前年度に示したが、上皮細胞成長因子(EGF),血小板由来成長因子(PDGF)、骨形成タンパク質-2(BMP-2)は活性が保たれるかは不明であった。今年度はマウス骨格筋細胞C2C12を用いてこれらの架橋したEGF,PDGF,BMP-2の3種についてその成長因子活性を検討したところ、それらの活性が保持されていることを明らかにした。培養基質に架橋した成長因子は細胞内に取り込まれることはないが、成長因子によっては細胞内にとりこまれて初めて機能するものがある。そこで一旦、固定化した成長因子が培養基質から徐放されるシステムの開発するため、架橋アームをつけたゲラチンと成長因子を混ぜてポリスチレン上にプリントし、37度の培養液中でシートから遊離してくる成長因子の量を測定した。その結果、成長因子が培養基質から徐放されていることが確認された。今後はこの徐放システム上で細胞を培養し、その活性を検討する。活性が認められた場合は、数種類の成長因子を組み合わせた成長因子アレイを作成、その上で幹細胞を培養し、その分化を制御する条件を解明する。
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