2005 Fiscal Year Annual Research Report
非視覚系光受容器官における「色」情報に関する神経行動学的解析
Project/Area Number |
17570060
|
Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (60188448)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健寿 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80165985)
和田 昌昭 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80192821)
|
Keywords | 松果体 / 光受容 / 感色性応答 / 波長識別 / 遊泳行動 |
Research Abstract |
魚類、両生類、爬虫類の松果体複合体には光の明暗だけでなく、短波長光と中・長波長光の割合を検出している神経節細胞が存在する。つまり波長識別をおこなっているのである。本研究の目的は眼外光受容器官である松果体の受容した「色」情報が生体においてどのような機能を担っているのかを明らかにすることである。本研究に用いたスナヤツメの近縁種であるカワヤツメにはこれまでの研究から紫外光と可視光を識別する感色性応答が確認され、またその紫外光受容には光再生という興味深い特性を有するパラピノプシンという光感受性蛋白質が関与していることが明らかとなっている。本研究において用いられたスナヤツメの松果体においてもパラピノプシンが存在するのか免疫組織化学的に調べた。その結果カワヤツメ同様に松果体にパラピノプシンの局在が認められた。これらのことからスナヤツメにおいても感色性神経節細胞が存在することが示唆された。そこで紫外光と可視光の変化が個体にどのような影響を与えるか紫外光(395nm)と緑光(525nm)を照射する予備実験をおこなった。その結果、紫外光の割合が増加することが示されたので、さらに詳細に調べるために紫外光、緑色光、青色光、赤色光の強度と照射時間を可変できる光照射装置を作製した。今年度は感色性応答が顕著に見られる紫外光と緑色光に着目し、予備実験よりも多くのパターンでの照射実験を試みた。それらの実験は紫外光の増加に伴い、活動量も増えることを示唆した。さらにこの現象は松果体除去によって消失する傾向を示した。次年度は行動変化を引き起こす光照射によって感色性神経節細胞の応答がどのように変動するかを明らかにし、神経活動とそれによって生じる遊泳行動の関係を解明することを目指す。
|
Research Products
(2 results)