2006 Fiscal Year Annual Research Report
非視覚系光受容器官における「色」情報に関する神経行動学的解析
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17570060
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
保 智己 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助教授 (60188448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三木 健寿 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (80165985)
和田 昌昭 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80192821)
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Keywords | 松果体 / 感色性応答 / 紫外光受容 / パラピノプシン / ヤツメウナギ / 遊泳行動 / 光受容細胞 / 神経節細胞 |
Research Abstract |
最終年度では遊泳行動についてのさらなる詳細な解析と感色性応答に関する電気生理学的実験をおこなった。これまで電気生理学的な研究はカワヤツメの成体を用いて行なわれてきたが、カワヤツメは生育条件の維持や個体が大型である等の点から行動実験には適していない。そのために、行動実験にはスナヤツメ幼生個体を用いている。昨年度では免疫組織学的に紫外光受容蛋白であるパラピノプシンがカワヤツメ同様に存在することを明らかにしたが、紫外光と可視光の割合を検出している感色性応答がスナヤツメ幼生にも存在するかどうかはこれまでは不明であった。そこで、神経節細胞からの細胞外記録により、感色性応答が記録された。遊泳行動の実験については、昨年度に作製した光照射装置を用いて、これまでの予備実験によって確認されていた紫外光の割合が増大することによる行動の誘発を再確認した。さらに、割合だけでなく、緑色光による明順応状態から紫外光を加えた場合と同じ光強度の緑色光を加えた場合での行動を比較した。その結果、明らかに前者の場合に行動が活発となった。松果体において、紫外光受容を担っているパラピノプシンにはこれまでの脊椎動物の光受容蛋白には見られない光再生という特徴が見られる。パラピノプシンのこの特性が行動にまでも反映しているのか調べた。実験としては紫外光のみを照射した個体と紫外光に緑色光を加えた状態で遊泳行動の持続時間を比較した。その結果、有意に緑色光を加えた系の個体の遊泳時間が長かった。最終的には行動と神経活動の同時記録まで目指していたが、配分された予算では同時に記録するための記録/解析装置を購入した場合は他の器具等が購入できず、実験に支障をきたすことが明らかであったので、遊泳行動と神経活動の記録は別々の系で実施した。今後はこの記録系の達成と松果体と遊泳行動の中枢との関連をさらに明らかにしていくことにしている。
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Research Products
(4 results)