2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17570061
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
安藤 正昭 広島大学, 総合科学部, 教授 (10100976)
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Keywords | Magnocellular preoptic nucleus / Anterior tuberal nucleus / 上食道括約筋(UES) / イソトシン(IT) / 舌咽・迷走運動核(GVC) / Vagal Lobe(LX) / GABA / ATP |
Research Abstract |
ウナギの腹腔内にEvans blueを注射することにより、間脳のmagnocellular preoptic nucleus (PM)とanterior tuberal nucleus (NAT)および延髄のarea postrema (AP)のニューロンが直接血液に接していることを示した。またPMのニューロンはバソトシン抗体で染まり、APニューロンはチロシン脱水素酵素(TH)の抗体で染まった(Mukuda et al.,2005)。PMとNATの神経活動は飲水調節因子であるアンギオテンシンや心房性ナトリウム利尿ペプチドの影響を受ける(準備中)。ウナギの飲水行動の律速段階は上部食道括約筋(UES)の収縮であるが、この筋肉はアセチルコリンで収縮する(Kozaka & Ando 2003)だけではなしに、イソトシン(IT)で弛緩する。ITの効果は濃度依存的であり、オキシトシン受容体のAntagonistで阻害される。またこの効果はTTXで神経活動を押さえた後でも見られることから、ITは筋細胞に直接作用していると考えられる。一方、神経刺激をしたときの収縮はITによって逆に増強された(準備中)。UESは迷走神経の第5分枝によってコリナージックに支配されている。このとき迷走神経の至適周波数は20Hzであった(準備中)。迷走神経によってUESをコントロールしているのは延髄のGlossopharyngeal-vagal motor complex (GVC)である(Mukuda & Ando,2003)。GVCはコリナージックなニューロンであり、UESを収縮させることしかできないが、GVCの神経活動はカテコールアミンによって用量依存的に抑えられた。またこの抑制はαタイプの受容体Antagonistで完全に抑えられた。GVCをカテコールアミナージックに支配する神経としてVagal lobe (LX)やCommissural nucleus of Cajal (NCC)およびAPが考えられる(これらの神経核はTH抗体で染まる)(Ito et al.,2006)。そこで次にLXを電気刺激してみると、GVC活動は抑制された。しかしこの抑制は、αタイプの受容体Antagonistでは全く抑えられず、カテコールアミン以外の伝達物質を放出していると考えられる。そこでふたたびGVCの受容体を探してみると、GVCにはGABAとATPの受容体も存在していることがわかった。そこでGABAとATPの受容体Antagonistsで処理した後に、LXを刺激してみた。するとLXによる抑制の40%程度が抑えられた。しかし2種類のAntagonistsを併用しても、それ以上の抑制は見られなかった。このことはLXがGABAまたはATPを放出することによってGVCの活動を抑えていることを意味している(準備中)。残りの60%が何によるのかをさらに調べる必要があるが、金魚のLXでは口中の味雷からの神経が直接入力していることがわかっている(Morita & Finger,1985)。またウナギの頭部にCl^-を作用させると飲水が誘導される(Hirano,1974)ので、味雷-LX-GVCの神経回路網はウナギの飲水行動を調節する主要な回路だと思われる。ちなみに味雷からLXへの神経はグルタミン酸を持っている(Smerasky et al.,1998)。グルタミン酸は神経を興奮させるので、このことも飲水にとっては好都合である。
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