2005 Fiscal Year Annual Research Report
D-アルギニンを基質として用いる環形動物のアルギニンキナーゼの構造と機能
Project/Area Number |
17570062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
鈴木 知彦 高知大学, 理学部, 教授 (60145109)
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Keywords | 酵素 / 基質特異性 / D-アミノ酸 / アルギニンキナーゼ / 変異導入 / フォスファゲンキナーゼ / グアニジノキナーゼ / クレアチンキナーゼ |
Research Abstract |
アルギニンキナーゼ(AK)は,通常,基質としてL-アルギニンを用いるが,1975年にフランスのグループは環形動物のケヤリ類から精製したAK酵素が,L-アルギニンに対してだけではなく,例外的にD-アルギニンに対しても強い酵素活性を持つことを報告している.我々は,近年明らかになってきたD-アミノ酸の様々な生理作用に鑑み,「ケヤリにおいてはD-アルギニンがフォスファゲン形成のグアニジン基質になっているのではないか」という仮説を立て,ケヤリ体壁筋からグアニジン基質を単離精製した.その結果,ケヤリに含まれるアルギニンは99%がD-体であり,その濃度(約5mM)もフォスファゲンとしての使用に耐えうるものと判断された.また,我々はケヤリから二種類のAK酵素遺伝子(AK1及びAK2)をクローニングし,そのリコンビナント酵素を使ってAK2がD-アルギニンに対して強い活性を示すことを確認した.また,分子系統解析によって,ケヤリの二種類のAKは,通常のAK遺伝子とはその起源を異にし,CK遺伝子から二次的に派生したものと判断された.これらの研究結果を研究論文として発表した(印刷中).以上の結果を踏まえて,更にこの研究では,D-アルギニンを基質として使用するケヤリAK2の基質認識機構を,およそ20種類のアミノ酸変異体を作成することによって解明する努力を続けている.また,このような特殊な酵素活性を得るに至った進化的基盤を明らかにするために,ケヤリの属する環形動物周辺の動物のフォスファゲンキナーゼを調べ,新規にタウロシアミンキナーゼとハイポタウロシアミンキナーゼの構造と機能を明らかにした(3編の論文として発表).
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Research Products
(4 results)