2005 Fiscal Year Annual Research Report
副甲状腺が細胞外Ca^<2+>を検出する時に働く脂質性シグナル分子
Project/Area Number |
17570064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
岡田 幸雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60136687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 一雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80134708)
藤山 理恵 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10274664)
ゼレド ジョージ 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10363459)
宮崎 敏博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (10174161)
佛坂 斉祉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (90199513)
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Keywords | 副甲状腺 / アラキドン酸 / Ca^<2+> / パッチクランプ / ウシガエル / イオンチャネル / 情報伝達 / Gタンパク質 |
Research Abstract |
哺乳類副甲状腺(上皮小体)細胞の細胞膜にはCa^<2+>感受性受容体(CaR)が発現しており,この細胞は血漿Ca^<2+>濃度変化を直接検出しながら上皮小体ホルモン(PTH)分泌量を変化させる。カエル副甲状腺においても同様な機序が働いているかについて解析した。本年度は、カエル副甲状腺細胞に発現する電位依存性Na^+チャネルに対するカンナビノイドの作用を解析した。カエル副甲状腺細胞は、全細胞固定下で-84mVの保持電位からの脱分極ステップにより一過性の内向き電流を示したが、持続性の電位依存性外向き電流は示さなかった。細胞外液のNa^+をNMDG^+で置換すると内向き電流は完全に消失し、3μM TTX処理で可逆的に抑制された。穿孔全細胞固定条件下では、-84mVから-24mVへのステップ電位変化での内向き電流の電流密度は-80pA/pFであったが、膜を破る通常の全細胞固定下では-55pA/pFに低下した。細胞内にGタンパクの活性化剤である0.5mM GTPγSを灌流すると電流密度はさらに-12pA/pFに低下した。細胞内1mM GDPβSは電流密度には効果がなかった。活性化曲線の最大値の50%値を示す電位は、穿孔全細胞固定と通常の全細胞固定ではともに-46mVであつた。不活性化曲線の最大値の50%値を示す電位は、穿孔法で-80mVとなり通常法で-86mVであった。細胞内に0.5mM GTPγSを添加すると、活性化曲線と不活性化曲線の最大値の50%値を示す電位は、それぞれ-36mVと-96mVに移動した。これらの結果は、カエル副甲状腺で発現する電依存性Na^+チャネルはGタンパクが関与するシグナル伝達機序で調節されていることを示唆する。副甲状腺においてGタンパク共役受容体の一つであるカンナビノイド受容体の発現は報告されていないが、電位依存性Na^+チャネルに対する内在性リガンドの作用を解析した。その一つであるアラキドン酸関連物質である2-アラキドノイルグリセロール(2-AG,50μFM)を副甲状腺細胞に作用させると、Na^+電流は強く抑制され、活性化曲線は脱分極側に不活性化曲線は過分極側に移動した。受容体の合成アゴニストであるWIN55,212-2(10μM)も同様な効果を示した。PKCの活性化剤であるPBDu(10μM)もNa^+電流を抑制したが、不活性化過程にだけ作用した。また、WIN55,212-2による抑制効果は、PKCの阻害剤であるチェレリスリン(10μM)によって打ち消されることはなく、PKCは抑制に関与しないことが示唆された。結論として、カエル副甲状腺細胞は電位依存性Na^+チャネルを持ち、その活性は脂質であるカンナビノイドで調節されている可能性がある。
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