2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫の光周性に関わるニューロンネットワークと制御物質の解析
Project/Area Number |
17570065
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
志賀 向子 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 助教授 (90254383)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沼田 英治 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70172749)
後藤 慎介 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 講師 (70347483)
泰山 浩司 川崎医科大学, 医学部, 講師 (60148690)
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Keywords | ルリキンバエ / 光周性 / SIFアミド / 脳間部 |
Research Abstract |
温帯から亜寒帯地域では、様々な物理環境が一年周期で変化する。これらの地域に生息する動物の多くは日長の変化を受容し、過酷な環境に耐えるための生理状態を準備する。本研究は、昆虫の光周性機構に関わるニューロンネットワークを明らかにすることを目的とする。ルリキンバエProtophormia terraenovaeを用いてこれまでに光周性により調節される生殖休眠に重要な脳間部ニューロン、脳側方部ニューロン、概日時計細胞と考えられるPERIOD陽性細胞に着目し、これらのニューロンネットワークを同定する。また、そのネットワーク内で働く制御物質や遺伝子を解析する。本年度は昨年度に引き続き、これらニューロン内に存在する物質を解析するとともに、それら物質の脳内分布領域を解析した。 1時計関連タンパク質TIMELESS ルリキンバエにおいてtimelessが部分クローニングされている。そこで、キイロショウジョウバエTIMELESSの抗体を用いて免疫染色を行ったが、PERIOD抗体とは異なり、明期、暗期いずれの時間帯においても免疫陽性を示す細胞は観察されなかった。TIMELESSの局在を調べるために、今後in situ hybridizationを行う予定である。 2脳間部神経ペプチドSIFアミド 昨年度、質量分析法により脳間部にSIFアミドの存在が示唆された。そこで、240個の脳から2回の逆相HPLCによる分離を行い、SIFアミドのアミノ酸配列(AYRKPPFNGSIF-NH_2)を決定した。また、ザリガニSIFアミド抗体を用いた免疫染色より、脳間部に大型の細胞体をもち脳のほぼ全領域にバリコシティを持って分枝する二対のニューロンが観察された。このニューロンは側心体へ分枝しないため、脳間部ニューロンとは異なるが、ルリキンバエの生殖に重要な脳間部に細胞体を持つという点で興味深い。
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Research Products
(1 results)