Research Abstract |
以下の地点の培養株について,核リボソーム遺伝子のITS2領域およびミトコンドリアコードのチトクローム酸化酵素遺伝子のサブユニット3領域(cox3)の塩基配列nを決定した:北海道(雄武,恵山,静内,白神岬,襟裳岬,庶野,厚岸,根室),福井県(三松),福岡県(塩屋崎),鹿児島県(桜島)。その結果,新たにいくつかのハプタイプがITS2,cox3ともにみつかった。ITS2で新たに見つかったハプロタイプは,平成17年度までに見つかっていた5つのハプロタイプのグループのいずれかにふくまれつものであった。cox3で新たに見つかったハプロタイプには、これまでにみつかっていたものと大きく異なるハプロタイプ画あり,cox3の多様性が示された。平成18年度に得られたハプロタイプの分布は、平成17年度の結果と矛盾せず,日本産カヤモノリには4つの隠蔽種が存在する可能性を支持した。 交雑実験では、ハプロタイプの解析結果を考慮し,以下の産地の培養株を使用した:雌株(忍路,竜飛,室蘭,三松,津屋崎,観音崎,黄波戸,桜島),雌株(忍路、竜飛,室蘭,朝里,三松,犬吠埼,観音崎,羽豆崎)。交雑実験結果は,以下のように3つの公配群の存在を示した:1(忍路,竜飛),2(室蘭,朝里,三松),3(観音崎,黄波戸,津屋崎,桜島、犬吠埼、羽豆崎)。ただし,津屋崎の1株は今回試みたなどの株とも接合子を形成せず,独立した交配群に所属する可能性がある。以上の交雑実験結果は,複数の分子種についてハプロタイプを解析することは,隠蔽種の発見に大変有効であると言える。
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