2005 Fiscal Year Annual Research Report
Cauloramphus属コケムシの北太平洋における適応放散に関する系統分類
Project/Area Number |
17570070
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
DICK Matthew H. 北海道大学, 大学院・理学研究科, 学術研究員 (80374205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬渡 駿介 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50096913)
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Keywords | Cauloramphus属 / 16SミトコンドリアDNA / 16Sar / br汎用プライマー / 保守的配列部分 / 唇口苔虫類 / アンチホルミン処理 / 石灰骨格標本 / 形態比較 |
Research Abstract |
忍路、厚岸および米国ワシントン州アナコルテスで標本採集を行った。それらの新採集標本、借用標本およびアラスカのケチカン島、コスタリカ等ですでに採集し保存してある標本の中から、下記の12種において、群体をアンチホルミン処理して形態比較のための石灰骨格標本を作り、DNA分析のための群体を用意した。 C.tortilis : Ketchikan, Alaska (3) C.magnus : Ketchikan (3);Oshoro (8);Kodiak, Alaska (2) C.variegatus : Kodiak (3);British Columbia (1);Washington State (1) C.brunnea : Galapagos Islands (1) C.multiavicularia : Washington State (1);Ketchikan (3) C.spinifer : Kodiak (3);Akkeshi (3) C.spectabilis : Kodiak (1) C.multispinosum : Oshoro (1);Akkeshi (1) C.echinus : British Columbia (1) C.unidentified 1:Zenibako, Hokkaido (1) C.unidentified 2:Costa Rica (1) C.unidentified 3:California (2) 唇口苔虫類でおいてすでに成功している方法を用いて共通種の標本から3セットのDNAを抽出した。分離したDNA抽出物のそれぞれで準備したマルチテンプレートに、16SミトコンドリアDNA遺伝子の部分配列を2,3回PCR増幅した。ところが、唇口苔虫類ほとんどで有効だった16Sar/br汎用プライマーセットはCauloramphusではうまく働かなかった。その理由としては、Cauloramphus属では、汎用プライマーの一つの付着部位の3'末端、において、保守的な配列部分が変化していると考えられる。そこで、新しいプライマーを開発中である。この新プライマーをテストし、同様に、別の遺伝子でもプライマーをテストする。PCRがうまくいった時点で、用意した全標本の16S配列を増幅する。 形態観察においては、上記12種の石灰骨格標本を走査型電子顕微鏡で観察し、各標本ごとに平均30枚ほどのSEM写真を得た。それらの基づくこれまでの形態比較結果によれば、上記12種の内の未同定種3種はいずれも未記載種である可能性が高まった。
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