2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒマラヤ山脈の隆起と第四紀気候変動に伴う高山ガシ類の種分化・分布拡大過程の研究
Project/Area Number |
17570071
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
百原 新 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (00250150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沖津 進 千葉大学, 園芸学部, 教授 (70169209)
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Keywords | 進化 / 気候変動 / コナラ属 / 第四紀 / ヒマラヤ山脈 / 植物化石 |
Research Abstract |
ネパールから中国西南部の鮮新・更新統から産出する高山ガシ類の進化プロセスと東アジアの第四紀環境変遷との関係を明らかにするため,1)鮮新・更新世気候変動に関するデータの収集と,2)高山ガシ類を含むカトマンズ盆地産植物化石群の分析,3)中国雲南省西部鮮新世化石群の予備調査,を行った. 1)鮮新・更新世気候データは文献収集を行うとともに,新潟県魚沼丘陵の大型植物化石群の調査・分析もあわせて行い,化石群組成に基づき約220万年前から70万年前のMISステージに対応した陸上の古気温変化曲線を作成した.2)カトマンズ盆地で採取し千葉大学園芸学部にストックされている,第四紀の葉化石を中心とした3層準の植物化石群を,葉脈形態などに基づき,東アジア〜ネパールの現生標本と比較しながら行った.その結果,中期更新世末以降の地層からは,中期更新世前半までの地層では見つからなかった高山ガシ類が豊富に含まれることが明らかになり,カトマンズ盆地では第四紀の後半にこの分類群が分布拡大したことが明らかになった. 3)2006年2月に中国雲南省西部の鮮新統を調査し,この地域には高山ガシ類を含む保存良好な植物化石が多産することや,葉化石に伴って種実類も豊富であることから,ヒマラヤ山脈を中心とした植生・フロラ変遷史解明のための有望なフィールドであることを明らかにした.以上の研究のうち,カトマンズ盆地と雲南省西部の高山ガシ類化石の調査・研究は,中国科学院・昆明植物学研究所Zhou Zhekun博士との協力によって行い,共同研究の一部の成果をActa Botanica Yunnanicaに発表した.
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