2005 Fiscal Year Annual Research Report
土壌に生息するCW型グループの単細胞緑藻の形態と分子系統
Project/Area Number |
17570074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
渡邊 信 富山大学, 理学部, 教授 (10126500)
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Keywords | Chlorochytrium lemnae / Radiosphaera negevensis / Actinochloris sphaerica / Radiosphaera dissecta / Borodinellopsis texensis / Axilosphaera vegetata / Asterococcus superbu / 系統樹 |
Research Abstract |
1.Radiosphaera negevensis, Actinochloris sphaerica(=Radiosphaera dissecta), Borodinellopsis texensis, Axilospaera vegetata, Asterococcus superbusの遊走子の鞭毛装置構造を電子顕微鏡をもちいて観察した。いずれも鞭毛の配列は時計回り(CW)型で、細胞壁があった。R.dissectaはA.sphaericaのシノニムとされていたもので、18S rDNAの系統樹において、栄養細胞が多核のR.negevensisと単核のA.sphaericaを単一のクレードを形成しなかったことから、核の状態が属を分ける分類基準の一つであるとする分類学的操作が支持されたと考えられる。しかし、A.sphaerica(=R.dissecta)は、遊走子やtetradを形成する直前に多核になるB.texensisや、成長中に多核になるProtosiphonとも別クレードになったことから、多核になる形質には2つのタイプがあり、それらは異なる系統で別々に派生したことが推定される。R.negevensisとA.vegetataは葉緑体が放射状であることが共通しており、単系統を形成したことから、葉緑体が放射状であることが共有派生形質であると考えられる。一方R.negevensisでは栄養細胞がtetradを構成しないがA.vegetataはtetradをつくる。かつてtetrad構成がクロロサルシナ目の一つの特徴とされたこともあったが、tetrad構成は様々な系統で並行的に出現した形質であると考えられる。 2.Chlorochytrium lemnae(UTEX134)を培養したところ、栄養細胞は単独であるだけでなく、サルシノイドや短い糸状体の藻体を形成した。培養株から,18S rDNAの部分塩基配列を決定した。この中にはイントロンが含まれていた。この部分塩基配列をもちいてC.lemnaeと他の単細胞緑藻を含めた系統樹を構築したところ、C.lemnaeは、多核で葉緑体が網目状になりピレノイドをもつProtosiphonやSpongiochlorisとクレードを構成し、これらと近縁であることが示唆された。この系統樹から網目状の葉緑体やピレノイドをもつことが共通の形質であることが推定された。
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