2007 Fiscal Year Annual Research Report
ウミグモ類及びクマムシ類を用いた節足動物の発生様式の進化に関する研究
Project/Area Number |
17570081
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮崎 勝己 Kyoto University, フィールド科学教育研究センター, 講師 (20263064)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 享介 大阪教育大学, 教育学部, 助教 (30299367)
鈴木 忠 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (90216359)
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Keywords | 節足動物 / ウミグモ / クマムシ / 胚発生 / 後胚発生 / 進化 / 発生様式 / 正常発生 |
Research Abstract |
クマムシ類については、鈴木により、オニクマムシの一種Milnesium cf. tardigradumの継代培養系の確立と、その維持に成功し、発生の通年観察が可能となった。この系は世界でも唯一のものである。そこから得られた初期胚について、走査電顕による観察を試みたが、固定時の強収縮をうまく回避出来ず、これまでのデータは断片的であり、まとめて公表するには至っていない。培養系からの供給材料を用いた研究成果を、論文1編として公表した(Takahashi et al., 2008)。 ウミグモ類については、宮崎により、卵母細胞から初期胚に至る卵黄豊富な段階において、Spurr系樹脂の切片作成における有効性を確認した。この手法を、特に卵黄量が多く従来の手法での観察が困難であったツメナガウミグモPropallene longicepsに適用し、卵膜の形成過程を微細構造学的に観察し、それが節足動物の中でも特に原始的な特徴を保持している事を明らかにし、論文1編として公表した(Bilinski, et. al., 2008)。またアサリに漁業被害を与えるカイヤドリウミグモNymphonella tapetisについて、様々な発生段階の胚の入手に成功した。現在、光学顕微鏡及び走査電顕による観察を行っており、特に外部形態の変化について情報がまとまりつつある。 発生遺伝子については、生田によりengrailedの単離を試みた。ウミグモ類については、得られた配列がコンタミネーションに由来することが明らかとなり、具体的な成果が得られなかった。クマムシ類については、試料が微少なため、TRIzo1によるグリコーゲンを用いた微量RNA抽出法を試み、オニクマムシ胚からのRNA抽出に成功した。現在cDNAよりengrailed断片のクローニングを行っている。
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Research Products
(2 results)